研究課題
最終年度であった今年度は、各々が追加調査を行う一方で、研究成果をまとめて総括・比較し、それを発表することにあてた。2013年7月1日に今年度第一回会合をもち、言語の「脱領域化」現象があらゆる場で起きている一方で、その状況の政策への反映度は必ずしも明確ではなく、当該地域の国から自治体に至る言語の領域性にもとづく言語政策の原理、政策担当者の裁量や思惑といった主観的な要素、そして経済状況などに大きく左右される不安定なものであることが確認された。特に多言語サービス、言語景観については、スペインの経済減退による言語関係の予算削減、ドイツ/ポーランド国境の「開放」による経済交流の深化といった状況が敏感に作用し、本研究期間の間にも大きく状況が変化したことも明らかになった。また、話者の言語意識や行動は、ICT分野における言語使用が今後重要になるであろうことも議論された。Facebookやツイッターといった言語使用の「場」は、今後、特に公的な言語使用が保障されていない少数言語についてはますます重要視されることになるが、それが言語のありかたに変化を促し、世代間格差といった問題も生み出すであろうことも確認された。これらの議論の一部は、『ことばと社会』15号に寄稿された研究分担者の研究成果に反映されている。そして、本研究の成果の報告のためのシンポジウムを、2014年2月21日に、バルセロナ大学の共催で開催した。そこで石部(ベルギーについてフランス語)佐野(オクシタン語)木村(ドイツ・ポーランド境界地域についてエスペランド語)塚原(日本の状況についてカタルーニャ語)にて発表を行い、60人以上の参加者との積極的な意見交換を行った。本シンポジウムの記録は、2014年度中にバルセロナ大学より刊行される予定である。
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Los que fan viure e trelusir l'occitan-Actes du Xe congres de l'AIEO, Beziers, 12-19 juin 2011,
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