研究課題
私の研究題目は「インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化」で、平成23年度から平成26年度の四年間にわたって以下の三つの活動を行った。第一に会話やナラティブ・スピーチなどの自然言語、及び芸能や儀式など文化活動の映像・音声データを採集しアーカイブ化することで、同時に申請者の研究成果を英語で出版する。第二に現地および他国の研究者と共同でそれらの言語の記述を進め、大量のデータを活かした言語の多様な側面の分析を行うこと。第三に民族語からインドネシア語マナド方言への言語シフトと言語態度に関する社会言語学的調査を行うことである。記述と分析の対象とする少数民族語はインドネシア国北スラウェシ州で話されているサギル諸語グループに属するバンティック語とタラウド語と、ミナハサ諸語グループに属するトンサワン語であった。国立マナド大学(インドネシア)の研究者と協力してタラウド語の方言調査を行うとともに、様々な儀式の映像・音声データを入手した。バンティック語とトンサワン語に関しても、後世の検証に耐えうるアーカイブ化構築の材料を収集した。その上で、バンティック語とタラウド語における形態論・統語論の分析と、情報構造に関する分析を行い、各所で発表し、英語による論文発表も行った。また、独白・会話・民話などの語りのデータを採集しFlex等のソフトウェアにおいて談話データを保存してきた。サギル語とトンサワン語の社会言語学的調査を行った。最も先行文献の少ないトンサワン語については音声・音韻・語彙・形態論の基礎的データを採集し、統語論の分析をすすめている。アーカイブ化に関してはラ・トローブ大学のAnthony Jukes氏と協力してラ・トローブ大学図書館の情報システムにおいてデータ保存を試み、広範囲からのアクセスが可能なアーカイブ化をすすめた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
Papers from Second International Conference on Asian Geolinguistics
巻: Vol. 2 ページ: pp 203-212
『明星大学研究紀要-人文学部-日本文化学科』
巻: 23号 ページ: 330-344