研究課題/領域番号 |
23520529
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
村杉 恵子 (斎藤 恵子) 南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 主節不定詞現象 / 生成文法 / 心理言語学 / 機能範疇 / 時制 / 切り取り仮説 / 過剰生成 / 誤用 |
研究概要 |
2011年度は、生成文法理論に基づき、幼児の初期の文法に関する記述と分析をを行い、口頭発表4件 (うち国際学会招聘1件)、ならびに研究論文(5本)にまとめて研究発表を行なった。特に世界の言語に共通する幼児の初期の動詞の特性として、時制が「指定されていない」とされる主節不定詞現象に焦点を当てて分析し、研究を深め、国内・国外で発表した。 主節不定詞現象を中心として扱う研究論文としては、(いずれも村杉(2011)単著)日本語で「幼児の誤りを観てここに普遍文法を知る」を発表した。また、英語では、"Japanese Syntax: Implications From Language Acquisition." (Studies in Language Sciences.) や"Root Infinitives: The Parallel Routes the Japanese- and Korean-speaking Children Step In." (JK18)などを発表した。また英国日本研究学会(BAJS)での招聘講演(Keynote Speaker、2011年9月8日)でも英語で、平明な用語を用いて講演した。 また、時制以外の機能と範疇の誤用に関して、研究を深め、国内・国外で共同研究 ( Keiko Murasugi, Tomomi Nakatani and Chisato Fuji)として "Trihederal Appraoch to the Overgeneration of 'no' in the Acquisition of Japanese Noun Phrases."など主節不定詞現象の観察される幼児期の文法について考察し、口頭ならびに論文の形でまとめ発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度は、短期間の海外渡航と基礎研究、ならびに論文執筆と出版(論文5本)に重点を置いた活動のみとなった。海外国内の研究者との直接研究交流が例年よりも少なく、9月のイギリス(オックスフォード大学)での招聘講演と3月の台湾(清華大学)での招聘講演、そしてアメリカ(コネチカット大学)での二件のトークにとどまった。 2012年度は、研究代表者が2011年度の年間を通じて行なっていた大学全学関連の公務の役割(責任者)から外れることにより、多少の研究時間の増加が期待されるため、研究を進めながら、より客観的かつ対照言語学的に知見を深め、理論的分析を深化し、研究成果を、発信していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、以下の点に重点を置いて、研究を進め、発表していきたい。(1)記述的研究:収集してきたデータベースをまとめ、一般化を引き出せるように整理する。(2)理論的研究:データベースに基づき、主に主節不定詞現象と機能範疇一般について整理し、幼児の(大人の文法からみた)正用と誤用のデータをまとめ、そこから記述的一般化をひきだし、生成文法に基づいた理論的分析を行う。(3対照言語学的な視点にたち、言語資料収集と整理:世界の言語において、主節不定詞現象がどのように分析されているのかについて、資料を整理し、まとめ、自身の研究を世界の言語獲得の視点から捉え直し、理論的研究へと結びつける。上記を深化するため、夏にはイギリス(予定:ロンドンならびにヨーク大学)へ、春にはアメリカ(東海岸)に行き、資料を収集するとともに、本プロジェクトの内容に精通する研究者とアポイントメントをとりつつ、研究を深化させる。得られた成果を論文にまとめ、発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度は、上記の研究推進方策に基づき、1)から3)の項目を中心に、研究費を使用する。(1)記述的研究:収集してきたデータベースをまとめ、一般化を引き出すための機器とアルバイト、ならびに文具など必要なもの。(2)理論的研究:データベースに基づき、主に主節不定詞現象と機能範疇一般について整理し、幼児の(大人の文法からみた)正用と誤用のデータをまとめ、そこから記述的一般化をひきだし、生成文法に基づく理論的分析を行うための機器と文具など必要なもの。(3)対照言語学的な言語資料の獲得と整理、論文発表:世界の言語において、主節不定詞現象がどのように分析されているのかについて、資料を整理し、まとめ、自身の研究を世界の言語獲得の視点から見直し、理論的研究と結びつける。そのために必要な書籍代、研究を深化するための旅費と謝金ならびに成果報告するための印刷費などが必要となる。
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