研究課題/領域番号 |
23520534
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
難波 和彦 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (10550585)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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キーワード | コードスイッチング / バイリンガリズム / 機能文法 |
研究実績の概要 |
前年度にコードスイッチングのデータを文法構造面から分析する上での新しいアプローチとして、Halliday (1994)の選択体系機能文法のフレームワークを用いることをテーマとし、バイリンガリズムの国際学会ISB9 (Singapore)で発表を行った。当該年度はさらにこの分析を進め、また内外の学会発表をし、他の研究者の意見を仰ぐことに努めた。海外では、オーストラリアのブリズベンで行われたAILA2014(応用言語学会世界大会)、国内では、機能文法の研究者が集まる第22回日本機能言語学会秋季大会でも発表をし、有益なフィードバックを得ることができた。日英コードスイッチングのデータを文法的に分析するときに、母体言語(Matrix Language=ML)の観点から分析をしていくが、このMLを対人的機能の面からと、テクスト形成機能の面からも設定をしてみていくことで、これまでに説明が難しかった日本語英語のコードスイッチングのパターンについての説明が可能になった。対人的機能を表現する終助詞、テクスト形成機能である主題を示すトピックマーカーなどがある日本語については、有効な方法だと考えられる。 自分が事務局長を務める「第一言語としてのバイリンガリズム研究会」の中心メンバーとともに、年に2回の研究会を運営し、バイリンガリズム関係の発表、執筆などに取り組んだ。上記AILA2014での発表はこのメンバーでのコロキアム形式での発表をし、また「バイリンガリズム入門」の本を出版、研究成果を第8章のコードスイッチングの文法面についての章に活かすことができた。日本語でのこの分野での書き下ろしの入門書は初めてのものだと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機能文法での分析、学会での発表のほうに重点をおいたが、データの書き起こしに関しては、バイリンガルでの書き起こしを担当するものが見つからず、停滞ぎみであった。次年度は再開をする予定。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が、最終年度となるので、縦断的データと横断的データの双方を使い、機能文法を使った分析をさらに進め、日本語ー英語コードスイッチングを分析する包括的な枠組みを構築していく。書き起こしをさらに進め、データベースをさらに豊富なものとしていく。 ケーススタディから得られた縦断的データについては、コードスイッチングのパターンを見て、当初に設定をしたMuyskenのinsertion, alternation, congruent lexicalizationの3カテゴリーでの分類に加えて、特に選択体系機能文法のメタ機能(経験的意味機能・対人的機能・テクスト形成的機能)での分析を進め、他にもFormulaic Languageの理論からの分析も加え、説明を行う。横断的データについては、話者の2言語能力に応じた変化について見ていく。バイリンガリズム、機能文法などの専門のジャーナルへの記事の投稿を行うことを目指す。
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