研究実績の概要 |
最終年度 日英均衡バイリンガルのデータ150分について書き起こしをし、コードスイッチングのパターンについて、Muysken(2000)の分類法を応用して、insertion 、alternation、composite とカテゴリー分けをし、insertionについては、さらにMyers-Scotton(2002)の4Mモデルを用いて内容語または3種類の機能語に分けた。さらにHallidayの選択体系機能文法を用いて、mood, modalityなどの対人的機能(interpersonal function)や、discourse markerなどのテクスト形成機能(textual function)の観点からのタグつけも行った。これまでの研究でまだ書き起こしをしていなかった日英バイリンガル児の縦断的データを中心に合計150分の会話の書き起こしをし、これまでに書き起こし済みのデータを含め300分のデータに関して、上記の分析を行った。 研究年度全体 自然な環境で起こるコードスイッチングのデータベースを構築するという目的は達成できたと考えられる。データにタグ付けをしていく中で、日本語と英語という文法構造的に相違点が多い言語間のコードスイッチングに関して、新たな視点が必要であることがわかってきた。語用論的な観点も取り入れたHallidayの選択体系機能文法を使った分析に取り組み始め、その分析方法を海外の学会での口頭発表やproceedings に記事として発表することで、コードスイッチングの言語構造面からの研究に一石を投じることができたと考えられる。今後は、今回の期間内にできなかった、このデータベースを用いて、機能文法による分析を進め、コードスイッチングという現象と、子供の発達度合い、環境の影響、言語間による違いなどとの相関関係を見て行きたい。 研究成果についてまとめた記事を発表予定。
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