宮沢賢治の語法について、童話作品を中心に考察した。分析にあたって、宮沢賢治と、比較対象として浜田広介・佐々木喜善の作品を基にコーパスを作成した。 その結果、宮沢賢治の作品には、標準語の中に方言の語法の影響とみられる語法がみられることを指摘した。 また、宮沢賢治の童話の文体は、副詞の用法などから話し言葉的な性格が強いことを指摘した。これは子供向けの作品として平易な文体を目指し、硬質な書き言葉を避けようとしたためであると考えられる。また、地の文などに方言の影響が出るのも、話し言葉的であることが作用した結果であると考えられる。
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