研究課題/領域番号 |
23520544
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中澤 信幸 山形大学, 人文学部, 准教授 (30413842)
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研究分担者 |
岩城 裕之 呉工業高等専門学校, 人文社会系分野, 准教授 (80390441)
是澤 範三 京都精華大学, 人文学部, 講師 (20554075)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 音声・音韻 / 日台対照言語学 / 日台基本漢字 / 国際研究者交流 台湾 |
研究概要 |
「日台字音便覧」データベースに台湾語ローマ字を入力することで、現代版「日台字音便覧」データベース(7,283字)をひととおり完成させた。これをもとに今後「日台基本漢字」発音対照表を作成することになる。ただし台湾語ローマ字に「教会ローマ字」と教育部作成のローマ字が混在しており、今後修正が必要である。 上記に加えて、日本語教科書『みんなの日本語』に出てくる漢字の熟語を、その提出された課とともにExcelに入力することで、「日本語漢語基本語彙」のリストを作成した。(717語。)これに台湾語会話集の索引にあるもので、『みんなの日本語』と一致しているものも入力した。(ただし漢字入力が困難なものについては手書きメモを付けている。)さらに『東方台湾語辞典』から、『みんなの日本語』と一致するものに関して語彙を増補した。その上で、日本語の熟語の語形と台湾語の熟語の語形が同じものについて、マークを記入した。このリストをもとに今後「日台基本漢字」を選定することになる。ただしこのリストについては、日本語と台湾語で語形は同じであるが、微妙にニュアンスや用法が異なるものの扱いが課題となる。これについては平成24年度に調査することにする。また意味は同じであるが語形が違うものについては、しばらく保留とし、今後の課題とする。 なお、本研究の推進のために、平成24年3月13~17日の間台湾を訪問した。15日には台湾側の研究協力者である蒋為文・陳麗君と打合せを行い、台湾語研究の現状や現代版「日台字音便覧」データベースの問題点について情報提供を受けた。14日には南台科技大学、16日には文藻外語学院と義守大学を訪問し、台湾における日本語教育の現状について情報提供を受け、また今後の研究協力を要請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあった、『日台大辞典』付載「日台字音便覧」データベースの修正による現代版「日台字音便覧」データベースの整備であるが、これは学生アルバイトの協力を得て達成した。 次に日本語基本語彙からの「基本漢語」の選定、および台湾語漢字文献・会話集・単語集からの「基本単語」の選定であるが、これは「日本語漢語基本語彙」リストを作成することで達成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の成果を踏まえ、平成24年度の研究計画を以下のように訂正する。((1)(2)は当初計画通り。)(1)前年度(2)(3)で選定した「基本漢語」をもとに、1,000字程度の「日台基本漢字」を選定する。(2)前年度(1)で整備した現代版「日台字音便覧」データベースから、上記(1)で選定した「日台基本漢字」をピックアップする。そして「日台基本漢字」を発音順に並べ直し、日本語音・台湾語音に北京語音も加えて発音対照表を構築する。そして試用版を印刷・製本する。(3)上記(2)で構築した「日台基本漢字」発音対照表、および前年度に構築した「日本語漢語基本語彙・台湾語対照表」について、台湾における日本語教育の現場でどの程度利用可能か現地調査する。 なお、当初計画で調査対象としていた「日本における台湾語教育の現場」は、数も少なく、実用的な効果を計るフィールドとしては不適当であると判断した。 上記の計画をもとに、まず「日台基本漢字」発音対照表を完成させ、台湾の日本語教育従事者に情報提供する。そして台湾における日本語教育の現場での利用可能性について調査する。また「日本語漢語基本語彙・台湾語対照表」についても、その利用可能性について調査する。調査時期は、現時点では9月16~23日の間の5日間程度を想定している。現地調査にあたっては、研究協力者の蒋為文・陳麗君の両名、また数名の台湾語母語話者に協力してもらうことにする。中澤(研究代表者)はこの調査までに、「日台基本漢字」発音対照表を整備しておく。岩城(研究分担者)は、日本語と台湾語で語形は同じであるが、微妙にニュアンスや用法が異なる語彙をリストアップしておく。是澤(研究分担者)は中澤・岩城が作成した資料を事前に検証し、現地調査前に問題点を指摘する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費:データ保存・交換のためのSDHCカードを購入する。30千円。また発音対照表の原稿印刷のために、用紙およびインクタンクを購入する。25千円。外国旅費:岩城(研究分担者)は日本語教育の現場での調査のために、台湾へ行く旅費が必要となる。250千円。なお、昨今の円高傾向を反映して、昨年度は台湾での調査費用が当初予定よりも安く済んだため、165,235円を次年度使用額として使えるようになった。これを活用して、中澤(研究代表者)も岩城とともに台湾へ行くことにする。謝金:「日台基本漢字」の選定および発音対照表構築の補助を依頼する。216千円。その他:発音対照表(試用版)の印刷・製本費。379千円。
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