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2011 年度 実施状況報告書

日本語史研究における抄物資料の活用促進のための研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520547
研究機関筑波大学

研究代表者

坪井 美樹  筑波大学, 人文社会系, 教授 (40114300)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード抄物 / 中世日本語 / 国際研究者交流(韓国、中国)
研究概要

本研究は、中世後期の日本語資料である抄物資料を、より多くの日本語研究者による多様な研究目的に即した利用を可能ならしめるために、抄物資料成立の場や状況、その言語の性格を解明し、一般にわかりやすく共有できる情報として提供することを目的とする。 平成23年度は上記の目的に沿い、まず第一段階として抄物成立の場の具体的状況を解明することを目指し、(a)『人天眼目抄』の講述の実態調査として川僧慧濟による『人天眼目』講義が行われた禅宗寺院一雲斎(静岡県磐田市)に出張し(H23.11.29-12.1)、現地の地勢と『人天眼目抄』中の記述を照合した。また、(b)取り合わせ抄物『三体詩幻雲抄』の編纂状況の実態を他の抄物資料と比較対照して調査した。この比較対照のために名古屋市蓬左文庫に出張し(H24.3.2-4)、同文庫所蔵の『三体詩抄』2種を調査した。以上の現地調査及び文献の比較調査資料として抄物大系『人天眼目抄』と『四河入海』を購入し(H24.1.27)、全体のデータ収集・蓄積等のためにノートパソコン1台(H23.8.12)を購入した。 以上の科研費による支援を受けて研究を進め、平成23年度中の研究成果として、論文「抄物資料におけるオノマトペの役割」(『筑波大学大学院人文社会科学研究科文芸・言語紀要『文藝言語研究』言語篇61 坪井単著論文)と論文「古代日本語から近代日本語への変化~現代日本語の特質の形成(授受表現の発達を例として)~」(韓国日本語教育学会機関誌 H24.4.12現在印刷中 坪井単著論文)を執筆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

勤務先大学での予定外の役職拝命(教育プロジェクトの統括長)により、予定よりも研究への取り掛かりが遅れたこと、また、データ整理補助として支給費による短期雇用を予定していた中世日本語史を専門とする大学院生が体調不良のため、雇用が出来なかったこと等の研究遂行の遅れがややあったが、予定していた現地調査、文献調査はほぼ予定どおり実施することが出来、研究成果として2本の論文を執筆(1本は既刊、1本は印刷中)し、次年度以降もほぼ予定どおり研究を進める目途がついたことにより、上記の自己評価とした。

今後の研究の推進方策

基本的な方向性としては、当初の研究実施計画のとおり、平成24年度は、23年度中に実施し残した調査データの整理をすませた後、研究の第2段階として抄物における講述文体の口語性の特質を解明し、次いで最終年度(平成25年度)には、研究の最終目的である、日本語資料としての抄物資料の利用をより容易にし、促進する抄物利用ガイドとなる著述の作成・公表を目指す。

次年度の研究費の使用計画

次年度(平成24年度)は、次年度使用額として繰り越した研究費の本来の使用目的の一つであったデータ整理補助のための大学院生の短期雇用を行い、データ整理の遅れを取り戻す。次いで、抄物資料中に現れる特徴的な語彙、(a)ヲチ、及び(b)シム/シモについて調査を行い、抄物資料になぜそのような特徴的な語彙が現れるかを抄物資料の特質と結びつけて考察する。この考察の結果を受けて、海外で抄物を研究している2名の研究協力者(韓国人研究者と中国人研究者)を訪問し、本研究の遂行上のアドバイスを受け、データを持ち寄って研究上の意見交換を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 抄物資料におけるオノマトペの役割2012

    • 著者名/発表者名
      坪井美樹
    • 雑誌名

      文藝言語研究 言語篇

      巻: 61 ページ: 147-158

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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