本研究は、中世後期日本語資料である抄物資料について、より多くの日本語研究者による利用を可能ならしめるために、抄物資料成立の場や状況、その言語の性格を解明し、一般にわかりやすく共有できる情報として提供することを最終目的とした。その目的を達成するために、次の3つのステージにおける研究活動を行った。(1)抄物成立の場の具体的状況を記述し仮名抄の口語性の強い文体形成の基盤を論じた。(2)抄物資料中のオノマトペの役割や授受表現の用例の分析を通して抄物における講述文体の口語性の特質を論じた。(3)報告書の作成や海外での講演を通じて抄物資料利用の促進を図った。
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