研究課題/領域番号 |
23520548
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
川村 大 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (50234133)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 出来文 / 受身 / 自発 / 可能 / 尊敬 / 格 / ヴォイス |
研究概要 |
本研究は、動詞ラレル形(「動詞+レル・ラレル、ル・ラル、ユ・ラユ」の形)、および動詞見エル(見ユ)・聞コエル(聞コユ)などを述語とする文(出来文)について、格表示等の構文をめぐる変遷の概略を調査することを目指している。 本年度は『平家物語(覚一本)』について、出来文の用例を抽出、構文情報等をタグ付けしたデータベースの作成を計画していたが、補助員が確保できなかったため、作業の開始が遅れた。やむなく、今年度は必要な機器の購入と、必要な資料・文献等の収集に努めることとした。すなわち、古典文学の注釈書、雑誌のバックナンバー、古代日本語・日本語文法・言語類型論に関する研究書を購入した。また、短時間で済ませられる資料の調査を行い、『方丈記』『三宝絵』(東大寺切・観智院本)の用例の収集を遂げた。計画の中心をなすデータベースの作成自体は後れがちであるが、次年度以降の調査へ向けての基盤の整備は、一定程度すすめることができたと考える。幸い、年度末に作業員の確保のめどがついたので、次年度は改めて『平家物語(覚一本)』の調査に着手する予定である。 なお、本研究の直接の成果とはいえないが、本研究に関連する成果として、次の2点がある。「受身文研究の二つの立場――研究史の構造的理解のために――」『国語と国文学』88巻9号 2011.9学位請求論文「古代語ラル形術後文の研究」(東京大学大学院人文社会系研究科に提出 博士(文学)の学位取得)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は補助員が確保できなかったため、当初計画していた『平家物語』の用例収集作業の開始が遅れた。なお、補助員の雇用ができなかった分、資料収集の作業を前倒しして行なった。
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今後の研究の推進方策 |
補助員の確保のめどがついたので、改めて『平家物語』の用例収集、データベースの作成に着手する。また、並行して、古代日本語・日本語文法・言語類型論関連文献の収集に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
用例収集のために補助員を雇用する。また、古代日本語、日本語文法(古代語・現代語)・言語類型論(特に、ヴォイス関連)に関連する文献の収集に努める。
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