研究課題/領域番号 |
23520548
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
川村 大 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50234133)
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キーワード | 出来文 / 格体制 / 受身 / 自発 / 可能 / 尊敬 / ヴォイス / 受動 |
研究概要 |
本研究は、動詞ラレル形(「動詞+レル・ラレル、ル・ラル、ユ・ラユ」の形)、および動詞見エル(見ユ)・聞コエル(聞コユ)などを述語とする文(出来文)について、格表示等の構文をめぐる変遷の概略を調査することを目指している。 本年度は『平家物語(覚一本)』についてデータベースの完成を目指すとともに、『虎明本狂言』の用例調査に着手することを計画していた。しかし、『平家』や『虎明本』の用例の検討を進めるに伴い、同作品における用例分布にある種の偏りが有ることが判明した。そこで同時期の他の作品における助動詞ル・ラルの用法分布を確認する必要を感じ、並行して『宇治拾遺物語』『徒然草』『隆達節』の用例調査を実施、データベースを作成した。また、古典文学の注釈書や、古代日本語・日本語文法・言語類型論に関する研究書を購入した。 『平家』データベースについては助動詞ル・ラル、また思ユの用例集のタグ付けが未完であり、また、見ユ・聞ユの用例収集に至っていない。また、『虎明本狂言』については助動詞ルル・ラルルのデータベースの作成を急いだが、半分程度の達成にとどまっている。計画の中心をなすデータベースの作成が後れがちであるが、次年度以降の調査へ向けての基盤の整備は、着実に進めることができたと考える。次年度は、今年度に引き続き『平家物語(覚一本)』『虎明本狂言』のデータベースの完成を期する予定である。 なお、本研究に関連する成果として、論文1点を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
雇用を予定していた作業員を雇用できず、研究代表者が一人で作業を実施したため、作業の進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今後補助員として適当な人物を雇用できる見込みがないため、当初計画よりも作業対象を絞り込むこととする。 本年度は『平家物語(覚一本)』『虎明本狂言』のデータベース作成を期するとともに、可能であれば『天草本伊曽保物語』の用例収集に着手する。また、並行して、作業に必要な古典文学の注釈書類や、古代日本語・日本語文法(古代語・現代語)・言語類型論(特に、ヴォイス関連)に関連する文献の収集に努める。
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