研究課題/領域番号 |
23520549
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山田 敏弘 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90298315)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 岐阜県方言 / データベース / 方言辞典 |
研究概要 |
本研究は、(1)岐阜県方言データベースの構築、(2) (1)の情報を基礎とした全国調査・研究との連携・協力、(3)個人での岐阜県方言に関する総体的記述研究の3つに分けられる。 (1)に関しては、当初の計画通り、平成23年度、岐阜県内各市町村史に見られる方言記述のデータベース化から始めた。岐阜県図書館および各市町村に独自に保管されるデータの収集によって蓄積された方言に関する91の市町村史に見られるデータを、OCRおよび手入力により入力し、52655語の方言語彙をデータ化した。 その資料に見られる方言語彙を、1つは、電子出力による検索ソフト開発により、もう1つは紙媒体による方言辞典として還元することに取り組んだ。現在、簡単な検索ソフトは工学部の情報関係の研究室との連携によりおおよそ開発が終わり、あとは学内の適切なサーバに置き、そこに流し込むデータの整理をおこなっている段階である。岐阜県方言辞典については、語誌に県内外の情報を付け加え整理中であり、ア~コまでの刊行がおこなわれた段階にある。 (2)に関しては、国立国語研究所の全国方言分布調査プロジェクトと連動し、岐阜県内の十数地点での調査が終了した。これによって集められた知見は、共同研究に活かされるほか、上述の方言辞典編纂にも随時活かされたほか、13に挙げた論文や学会発表等において報告された。その意味では、(3)の岐阜県方言に関する総体的記述へも、当初計画以上の成果として反映された。 以上の通り、本研究は、100%を超える実績を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベース化については、工学部の情報関係の研究室の援助を得て順調に進んでいる。反面、OCRにより電子化された記述には誤入力が多く、紙の辞典版の編纂に合わせ一語一語をチェックしていく必要があり、現在、その途上にある。拙速なデータの公開は避けたいため、紙媒体での公開を先に完了させる必要があり、電子版の公開はやや遅れる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度研究費をやや余り気味に残したのは、方言辞典を分冊化し、よりきめ細かい記述をおこなった上で、完成の都度、県内外に還元することを企図したためである。方言辞典については、平成24年度上半期にサ~ノ、平成24年度中にハ~ンを完成させる予定である。 これを受けて、電子版公開用データの整備もおおよそ完了するものと考えており、電子版の公開は、平成25年度当初となる予定である。 平成25年度は、さらに、あいさつ表現や文法記述など、語彙として記述されている中の特徴的な現象をまとめていき、『岐阜県方言辞典』は、5冊刊行される予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上に記したように、紙媒体での方言辞典の刊行を重視し、そこに重点的に予算を配分していく。紙媒体を重視する理由は、電子媒体のものとは使用する用途も目的も異なる上、使用が想定される年齢層も異なるためである。紙媒体により、老若男女広くアピールすることができると考えている。 平成24年度以降は、このような方言辞典刊行費用を多めに配分する予定である。昨年度の刊行物がca.180pp.×150部で130,000円ほどであったことより、各年度その2倍にページ増加分を勘案し、約\300,000ほどを成果刊行費として充てる。残額で記述をより正確にするための調査をおこない、また、データ整備等を学生アルバイトを雇用しつつおこなっていく予定である。
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