研究概要 |
岐阜県内でこれまでに公刊された郡市町村史から方言に関する記述をすべてデータ化し、その特徴的な語彙(オノマトペ・挨拶表現などを含む)(異なり5909項目、のべ31,777項目)および文法項目(969項目)について、語釈、記述、県内類語、県外の分布等を合わせ、5巻およそ1000ページの辞典形式にて作成。県内外の公共図書館をはじめ広く一般にも参照できるようにした。具体例を挙げれば、「準備」の意味の「マワシ」について、語源説をはじめとした語釈を300字程度で示し、その下に、県内各地の郡市町村史から50項目ほどの個別の記述を列挙。それぞれの市町村史の何ページにその記述が見られるかまでを付した。さらに、県外で「準備」の意味の「マワシ」を使う県として、『日本方言大辞典』の記述から、愛知と滋賀を挙げ、関連する項目として奈良の「マワリ」も引用して示した。県内の方言類語についても記述をおこない、飛騨地方でよく使われる「ヤワイ」も参照として挙げるなど、岐阜県内での方言記述を概観し、県内外の記述ともリンクするように配したのが大きな特徴である。 ただ、現代は紙媒体の記述を悠長に見ていることができない時代でもある。その点を考慮して、第5巻には、Excelファイルによる検索ソフトも付録させ、単に紙の上からだけでなく電子的にも参照できるよう便宜を図った。当初予定していたwebでの公開は、データのメンテナンスに対し恒常的におこなえる見通しが立たないことから断念し、CD-ROMによる配布に留めた。 これらの成果は、広く全国の研究者のみならず県内外の一般人にも広く公開された。 今回の成果は、おおよそ交付時に申請した「研究の目的」ならびに「研究計画書」に合致するものとなった。
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