本研究は、従来「気づかない方言」などとして関心が示されてきた「学校方言」について、学校建築用語に絞り、文献資料と方言資料から総合的に検討することで、個々の学校方言並びに標準語の成立と展開を分析し、その一般的な傾向を導き出すことを目的とした。 「屋運」という愛知県一宮市に分布する語形を主な事例として、発生から周辺への広がりの実態とその背景である教育関係資料を渉猟し,縦軸と横軸をつなぎ合わせ、立体的に実証した。その結果、従来日本語資料として看過されてきた教育史資料及び各種法令を現代語研究を進める上で必須の資料群として位置づけ、十分な事例研究数とは言えないが、研究課題については達成できたと考える。
|