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2012 年度 実施状況報告書

訓点資料注釈の作成

研究課題

研究課題/領域番号 23520552
研究機関京都大学

研究代表者

大槻 信  京都大学, 文学研究科, 准教授 (60291994)

キーワード訓点資料
研究概要

訓点資料に付された訓点をもとに、どのようにして訓読文を作り上げるのか、その過程について具体的な説明が必要であるという観点から、本研究では、特定の訓点資料に対する詳細な注釈を行うことによって、「訓点資料解読のための手引き」を作成することを目的としている。あわせて、若手研究者が資料にアクセスしやすい環境を整え、オープンに議論できる場を設ける必要があるとの観点から、若手研究者に資料調査への参加を促し、資料について議論する機会を設けることをもう一つの目的とする。
その目的を達成するため、本年度も、若手研究者とともに訓点資料の調査・撮影を行った(高野山・高山寺・京都大学など)。具体的には、高野山大学図書館、高山寺などで、大学院生をともなった調査を行い、他にも国際仏教学大学院大学付属図書館やお茶の水図書館等で調査を行った。また、京都大学文学研究科図書館・京都大学附属図書館では定期的に書庫の入庫調査を実施している。そして、注釈の対象となる資料の選定を進め、京都大学文学部蔵『金剛頂経』ならびに陽明文庫蔵『遊仙窟』を対象として注釈作成作業を行った。前者は院政期の標準的な仏書訓点資料であり、後者は漢籍の訓点資料として特異な訓読が見られる。
その過程で、調査合宿、研究会などを開催し、若手研究者の啓発と教育に努めた。京都大学における授業(演習)でも訓点資料を取り上げ、若手の関心喚起に努めている。加えて、上記の研究に資するため、先行研究の集成・整理を継続している。所属大学で十分な情報が得られない場合には、国立国会図書館等で情報収集にあたっている。また、研究成果を世界に発信するため、既発表論文の中国語翻訳を進めた(『敦煌学・日本学 続編』(上海辞書出版社、2013年刊行予定)に掲載の予定)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ほぼ予定通りに訓点資料の原本実地調査を進めており、撮影作業も行った。また、もう一つの目標であった若手研究者の教育・啓発についても進展を見ることが出来ている。訓点資料に興味を持つ学部学生、修士課程学生が多く現れていることはその証左であろう。訓点資料注釈の作成作業もおおよそ計画通りに進んでいる。全般的に、当初の計画をおおむね予定通りに実行することが出来たといえる。

今後の研究の推進方策

原本実地調査、研究会、註釈の作成など、継続的に行うべき活動が多い。それらを継続して着実に進めていきたい。本年度も高野山・高山寺等で調査を行い、京都大学内部の図書館調査も継続する予定である。

次年度の研究費の使用計画

継続して、原本の実地調査を行い、重要資料の撮影を行う(高野山・高山寺・京都大学)。それらの調査結果を整理し、電子化をはかる。また、注釈の対象資料を、研究会等の場を設けながら読み進め、注釈を作成していく。可能であれば、その注釈を公開したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 『新撰字鏡』序文と『法琳別伝』2013

    • 著者名/発表者名
      大槻 信・小林雄一・森下真衣
    • 雑誌名

      国語国文

      巻: 第82巻第1号 ページ: 34-48

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 2010年・2011年における日本語学会の展望 研究資料(史的研究)2012

    • 著者名/発表者名
      大槻 信
    • 雑誌名

      日本語の研究

      巻: 第8巻3号 ページ: 9-13

    • 査読あり
  • [学会発表] 『新撰字鏡』序文と『法琳別伝』

    • 著者名/発表者名
      大槻 信・小林雄一・森下真衣
    • 学会等名
      訓点語学会
    • 発表場所
      京都大学
  • [図書] 国語史を学ぶ人のために2013

    • 著者名/発表者名
      木田章義編(大槻は「語彙史」を担当)
    • 総ページ数
      326(担当71-98)
    • 出版者
      世界思想社

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公開日: 2014-07-24  

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