研究課題/領域番号 |
23520553
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐々木 勇 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50215711)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 漢字音 / 漢音 / 呉音 / 漢字声調 |
研究概要 |
本研究の目的は、鎌倉時代における日本漢字音の位相差を記述し、それを総合的に研究することである。そのために、字音の加点が豊富な、浄土真宗古写本を研究対象とした。本年度は、資料収集を中心に行なう計画であって、計画通り以下の実績をあげた。1.親鸞遺文を中心とする、広島大学に所蔵されていない、浄土真宗古写本の複製本を購入した。具体的には、以下の書籍である。 西本願寺蔵『教行信証』のカラー複製本。 2.複製本になっていない浄土真宗古写本の写真複写した。 具体的には、大谷大学藏『福州東禪大蔵経目録』・同『教行信證』・国会図書館蔵『本願寺親鸞聖人歴代系譜』等である。 3.1.2.の原本を、実見調査した。 原本調査により、写真では不明の点を確認することができた。 4.複製本および写真に基づき、本文データの入力を進めた。親鸞自筆本の本文すべてのデータ入力を完了した。 その他、訓点語学会での学会発表もし、成果の一部を論文としても発表した。発表は、佐々木 勇 親鸞使用の声点加点形式について ―坂東本『教行信証』声点の位置づけ―(第105回 訓点語学会研究発表会 平成23年10月16日(日) 東京大学山上会館)。論文は、いずれも単著の、以下のものである。○専修寺蔵『入出二門偈頌』建長八年真佛写本の訓点について 「ことばとくらし」第23号 (pp.3-11) 新潟県ことばの会 平成23年10月。○中世浄土真宗資料に見られる急・緩入声点と舌内入声音 「広島大学大学院教育学研究科紀要」第二部第60号(pp.1-9) 平成23年12月。○興正寺蔵『淨土三經往生文類』(広本)の字音注について 「浄土真宗総合研究」第7号(pp.1-9) 教学伝道研究センター 平成24年3月(印刷中)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したとおり、研究計画に基づき、順調に進行しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を変更する必要は無い。 そのため、次年度と最終年度の研究は、以下の通りに行なう。 次年度は、平成23年度に得られた結果を基にして、本年度は、資料収集を継続しつつ、得られた資料からの漢字音情報採取・整理を行なう。1.資料収集は、前年度の作業を継続する。2.データ入力・整理は、上記で得られた資料の漢字に加点された音注を、新規購入のコンピュータを用いて、データ入力する。また入力の便を図るため、写真印刷のためのプリンターを新規購入する。 最終年度は、漢字音情報採取・整理を継続しつつ、その分析・研究を行ない、研究成果公表の準備を進める。1.データ入力・整理は、前年度の作業を継続する。 2.データ分析では、佐々木勇『平安鎌倉時代における日本漢音の研究』(2009 年1月、汲古書院)における分析方法を応用し、得られた資料を、「字音直読資料」「仏書訓読資料」「和化漢文訓読資料」「漢字仮名交じり資料」「書簡」の五資料群に分ける。その上で、各資料に見られる漢字音の音形と声調とを比較し、その差が生じた理由を、位相論的に考察する。3.本研究の成果は、近い将来に、著書の形で公刊する予定である。本研究の最終年度にあたる本年度は、研究のまとめを行なうとともに、本研究成果公表のため、著書公刊の準備も進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、平成23年度に得られた結果を基にして、本年度は、資料収集を継続しつつ、得られた資料からの漢字音情報採取・整理を行なう。1.資料収集では、前年度の作業を継続する。2.データ入力・整理は、上記で得られた資料の漢字に加点された音注を、新規購入のコンピュータを用いて、データ入力する。また入力の便を図るため、写真印刷のためのプリンターを新規購入する。 上記の計画のため、以下のように研究費を使用する。物品費 800000 旅費 200000 謝金等 0 その他 200000
|