研究課題/領域番号 |
23520554
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
有元 光彦 山口大学, 教育学部, 教授 (90232074)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 九州方言 / 音韻現象 / 接触 / 伝播 / 受容 |
研究概要 |
本年度は,[1]データ収集,[2]テ形音韻現象の記述・理論化,[3]方言接触現象の理論化,という3点に関する研究を計画していた。 まず[1]に関してであるが,本年度は,熊本県本土北東部,及び大分県南西部の方言のフィールドワークを実施した。調査地域は4地点である。各地点で数名のインフォーマントに聞き取り調査を実施した。これらの地域は,本研究でターゲットとしている「テ形音韻現象」が観察される境界地域であると予測している箇所である。調査の結果,予測通り境界地域であることがある程度判明した。しかし,まだ調査地点が地理的に密でないため,明確には解明できていないが,少なくともこれらの地域より東,または北に進むと,テ形音韻現象は観察できなくなるのではないかと現時点では考えている。 次に[2]に関してであるが,各方言で観察されたテ形については,音声記号を用いて,逐次データベース化を行っている。テ形音韻現象のパターンについては,従来のデータと比較しつつ,その都度記述している。その際,新たなパターンが見られないかどうか,絶えずチェックを実施している。 最後に[3]に関しては,方言の接触・伝播・受容をテーマにした研究会に参加し,そこで得られた知見を九州方言にも適用している。ただ,従来の研究では語彙を中心としていたために,システムであるテ形音韻現象にはそのまま適用することは慎重にならざるを得ない。システムの接触・伝播に関しては,現在理論化を試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたフィールドワークに関して,少し遅れが生じている。これは,調査者(研究者)側と協力者・話者側との日程調整等がうまく行かなかったことに原因がある。方言調査では,調査地点の選択,調査の日程調整,方言話者の紹介,方言話者のスケジュールなどが問題となるため,しばしば計画が遅れることがある。しかし,この問題は当初から予測していたことであるため,問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には,今年度フィールドワークができなかった地域も含めて,調査回数を増やす予定である。特に,物理的に調査に行くことが難しい,または時間がかかる地域に関しては,優先的に調査を実施することを考えている。そのためには,なるべく早めに調査計画を練り,日程調整等を進めなければならない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費については,基本的に旅費として扱う予定である。特に,物理的に調査に行くことが困難な島嶼部や山間部に関しては,優先的にこの旅費を使用することを考えている。
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