研究課題/領域番号 |
23520555
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
青木 博史 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90315929)
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キーワード | 名詞節 / 副詞節 / 構造 / 歴史変化 / 複合動詞 |
研究概要 |
本年度における研究の業績は,以下のとおりである。 ①論文「クル型複合動詞の史的展開」(高山善行・青木博史他編『日本語文法史研究1』,ひつじ書房,2012年12月),②紹介「迫野虔徳著『方言史と日本語史』」(『文献探究』51号,2013年3月),③口頭発表「日本語史における名詞節」(国立国語研究所共同研究プロジェクト「日本列島と周辺諸言語の類型論的・比較歴史的研究」研究発表会,2012年8月),④講演「連体形終止の一般化について」(和光大学言語学研究会,2012年10月),⑤口頭発表「接続部における名詞節の脱範疇化について」(国立国語研究所共同研究プロジェクト「複文構文の意味の研究」シンポジウム,2012年12月),⑥口頭発表「言語変化と文法史研究」(JLVC2013(国立国語研究所時空間変異研究系合同発表会),2013年3月)。 ①では,「~まくる」「~たくる」などの形式の観察を通じて,歴史的観点から見た「統語的複合動詞」の位置づけについて論じた。また,論文集『日本語文法史研究』の編者を務めた。③では,名詞節が用いられる環境を文中・文末に分け,それぞれの歴史的変化について概観した。④では,未だ定説を見ない終止形と連体形の合流現象について,文法体系を視野に収め,様々な文法変化との関係の中で説明を試みた。⑤では,「が」「に」「を」といった助詞が格助詞から接続助詞へ変化する過程について,助詞の前部の名詞節に注目しながらその特徴について説明した。⑥では,文法史研究のさらなる発展に向けて,位相論や文体論,方言研究とも連携しながら,複線的・重層的なストーリーとしての文法史を描くことの必要性を述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
24年度の計画としては,述部における名詞節の考察を行うこととなっていたが,文中の接続部における考察も,研究成果を口頭発表するに至っており,予定以上に進んでいる。また,並行して行っている統語的観点から見た複合動詞の研究も活字化することができており,当該年度の研究は,当初の計画以上に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題は順調に進展しており,研究計画の変更は必要ない。引き続き,歴史的観点から見た節の構造をテーマとし,文中(従属節)と文末(主節),さらには述語の複合(複合動詞)の問題も併せて分析を進めていく。 研究成果については,24年度は口頭発表を多く行ったので,25年度はそれらを活字化した論文の形で成果を発表していくことに努めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
関連図書の購入費,研究成果発表または研究打ち合わせに係る旅費,資料・データ収集に係る複写費,等を主に必要とする。
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