研究課題/領域番号 |
23520556
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高山 倫明 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (90179565)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 字余り / 音韻史 / シラブル / モーラ / 韻律論 |
研究概要 |
23年度は、従来の研究史を総括するための資料の収集と整理、諸情報のコンピュータ入力を推進した。 既存の改変可能のデータベースを活用しつつ、目的に即したデータベースの構築に着手し、鋭意入力を進行した(現在進行中)。その際、近世から近代に至る膨大な和歌のうち、各時代の特性を最もよく体現しているとみなされるものを先行諸文献に学びつつ選定し、テキストファイル化を行った。近代初期については、とくに与謝野晶子の全歌をテキストファイル化し、データベースの構築をめざした。与謝野晶子の活躍した時代は、研究目的の欄に記した字余り句の偏在が消えるターニングポイントに跨っており、彼女自身も大胆な字余りを多用した初期作品から極端にそれを避ける晩年作品へと興味深い作風の変化を見せるからである。 また、全国誌「国語と国文学」2011-08に「音韻史と字余り」と題する論文を掲載した。従来、主として古典的韻文を中心に調査・分析が進められ、シラビームからモーラへといった「音節構造」の史的変化や、古代的唱詠法との関連が議論されてきた「字余り」現象につき、考察対象を近現代の韻文にまで広げ、古今を通じて一貫する部分と変化する部分を慎重に見極め、日本語音韻史、韻律論の立場から、新たな通史的な研究を推進しようとしたものであり、本科研のテーマに沿ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベース構築の作業の進行が予定を下回ったため。年度当初は論文執筆に力点を置き、データベース入力の準備作業を中断。再開後も入力方針に変更すべき点が見つかったため、予定していた学生アルバイトによる入力が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後ともひきつづき従来の研究史を総括するための資料の収集と整理、諸情報のコンピュータ入力を推進する。また、既存の改変可能のデータベースを活用しつつ、目的に即したデータベースの構築を鋭意推進する。とくに与謝野鉄幹・正岡子規等による所謂「短歌革新運動」の前後の諸作品のテキストファイル化を推進し、データベースの構築をめざす。その過程で得られた知見に関しては、しかるべき場で随時発表し、批判をもとに再検討を順次行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
謝金:学生アルバイトによる入力作業旅費:首都圏への調査旅行および学会・研究会での情報収集物品費:歌論書関係図書の収集
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