研究課題/領域番号 |
23520557
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
佐々木 香代子 琉球大学, 留学生センター, 准教授 (60305216)
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研究分担者 |
尚 真貴子 沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (80341668)
狩俣 幸子 琉球大学, 大学教育センター, 非常勤講師 (90536690)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 言語生活 / 沖縄語 / 高校生 |
研究概要 |
沖縄方言の使用についての調査・研究によると、現在方言(ウチナーグチ)のみを日常的に使用している人々は80歳以上の高年齢層に限られており(但し、都市部と農村・漁村部とではウチナーグチ使用の割合が異なる)、ほとんどの沖縄の人々がウチナーグチとウチナーヤマトグチおよび共通語を混ぜて使用している。そして、年齢が下がるほどウチナーヤマトグチと共通語の割合が高くなるが、若い世代の沖縄の人々がウチナーグチを全く使用していない訳ではない。が、具体的にどういった言葉をどの程度使用しているかといったことについての量的な調査・研究は行われていない。本研究は、沖縄在住の高校生を対象にアンケート調査を行うことで、高校生の沖縄語(本研究では、ウチナーグチおよびウチナーヤマトグチを併せて「沖縄語」と呼ぶ)使用の状況(どのような言葉が使われ、どのような言葉が使われなくなっているか)についての実証的なデータを提供すること、また質問票と自由記述の両方で調査を実施することにより、ウチナーグチの影響を受けている若者言葉の有無を収集・検討することを目的としている。初年度(23年度)に実施した事柄は下記の通りである。(1)平成22年度に実施した県内4大学の大学生に対する沖縄語調査結果を基に、質問票対象語となる沖縄語を選定し、沖縄語の使用及び理解についての質問票を作成した。また、自由記述回答部分を設け、質問票対象語以外の沖縄語で、高校生が使用している語を文レベルの例をつけて記述してもらうようにした。(2)県内全日制公立高等学校のうち、宮古・八重山地方の高等学校を除く52校中43校にご協力頂き、約3,300名を対象にアンケートを実施、回収した。(3)回収したアンケートの質問票および自由記述回答部分の入力作業を開始し、約8割の作業を終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画段階では、初年度にアンケートを作成、実施、回収し、次年度にデータの入力作業を行う予定であったが、23年度(初年度)中に、回収したアンケートの入力作業を開始し、約8割の入力を終了している。また、アンケート対象者は、当初、1,000名を目標としていたが、県内全日制公立高等学校のうち、宮古・八重山地方の高等学校を除く52校中43校にご協力頂くことができ、約3,300名を対象にアンケートを実施することができた。上記の状況から、研究は、計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、先ず、残り2割の入力作業を終了させ、分析に入る予定である。質問票についてはSPSSで統計処理を行い、結果を分析する。自由記述回答部分については、べた打ちになっているものを整理・分類するが、その際、地域差のバリエーションを踏まえて整理する。出現する語彙の頻度、高校生が使用しているウチナーグチの意味と本来のウチナーグチの意味とのズレ、文中におけるウチナーグチとウチナーヤマトグチの割合、ウチナーグチの影響を受けている若者言葉の有無等について検討・考察する。なお、方言分析の視点や方法論等の情報を収集するため、研究グループのうち1名が日本方言研究会に出席する。25年度は、地域差、性差、将来の指向性との関連なども分析の視点に加え、分析を進め、報告書を作成する。なお、アンケートにご協力頂いた高等学校から、調査結果のフィードバックを求められていることから、当初の計画にはなかったが、上記報告書以外に、沖縄の高校生が自分の使用している言語を意識化できるようにするためのきっかけとなるようなものを冊子にして(『言葉の探検学習帳(仮名)』)作り、報告書と併せて、アンケート調査にご協力いただいた高等学校および担当教諭に配布する。
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次年度の研究費の使用計画 |
入力作業謝金:72,960円自由記述回答の語彙の整理入力謝金:200,640円学会出張旅費(日本方言研究会):55,000円物品費:カラー両面プリンター130,000円
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