研究概要 |
本研究は、平成23年度~25年度の3年間をかけて行った。沖縄県内の宮古・八重山地方を除く全日制公私立高校56校に調査協力を依頼し、うち48校から協力を得、2種類の調査票および記述回答を合わせた3種類で調査を実施した。 回収した調査票は順次、データ入力し、SPSSversion18で統計処理(度数分布、クロス集計、平均値の比較)し、分析を行った。調査票は3,496件回収したが、データに欠損のある調査票を除外したところ、有効回答数は、調査票Aが2,663件、調査票Bが3,266件であった。2つの調査票の分析から、①全体的な傾向として方言よりもウチナーヤマトゥグチを使用する、②両親がどちらも沖縄県内出身の場合、沖縄の言葉を積極的に使用する、③将来の進路として沖縄県内での就職・進学を希望する者が沖縄の言葉を積極的に使用する、③地域では南部地域が最も沖縄の言葉を使用する傾向が高いと言う結果が得られた。性別、学年については沖縄の言葉の使用との有意な関連性は見られなかった。 自由記述は1,211名から回答を得、述べ語数は4,077語、異なり語数は767語であった。データを整理・分析したところ、①名詞が3割以上を占め、②単独の語での回答が半数を占める結果となり、高校生が文レベルで沖縄の言葉が使用できなくなっている状況が明らかとなった。また、一部の共通語を「沖縄の言葉」と認識している状況も窺えた。 さらに、①方言の動詞と形容詞の活用語尾が使えない、②喉頭破裂音が認識されていない、③語中や語尾の長音の地域差が反映されていない等、「消えていく言葉」の傾向が見られる一方で、①共通語の語尾を使用することで方言の動詞や形容詞が残っていく可能性が指摘出来た他、②身近な動植物、食材を表す語は知っている、③程度を表す副詞のバリエーションが多い等、「残って行く言葉」の可能性も考察できた。
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