研究課題/領域番号 |
23520558
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
浅川 哲也 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (50433173)
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キーワード | 幕末期人情本 / 山々亭有人 / 春色江戸紫 / 花暦封じ文 |
研究概要 |
江戸時代末期の人情本資料のうち、山々亭有人作の『春色江戸紫』全三編(初編1864年)の本文の全文活字化を完成させた。この成果は首都大学東京大学院紀要『人文学報』においてその全文を公開した。この『春色江戸紫』を含む幕末期人情本資料の本文について、その本文批判や語法の特徴などに関する研究成果を國學院大學院友学術振興会総会において研究発表した。また、山々亭有人作の人情本『花暦封じ文』全四編(初編1866年)の本文の全文活字化を完成させた。人情本資料『春色江戸紫染』・『花暦封じ文』ともに、正確な活字化の本文はこれまでになく、正確な活字化での全文の本文公刊は本邦史上初の大きな成果である。これら人情本資料の本文活字化の完成は、日本語学のみならず、日本文学や日本歴史学においても基礎的な資料として資するところの大きい研究成果となった。これらの活字化作業を経過する上で明らかとなった、山々亭有人の文体の特徴、丁寧語「です」使用の特徴、漢語語彙の 唐話(白話)語彙の使用状況の特徴、『日本国語大辞典第二版』中にある初出用例を遡及する語彙使用の例について、『人文学報』中に収録の「解説」において研究成果として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『春色江戸紫』と『花暦封じ文』の本文の正確な活字化作業が完成し、『春色江戸紫』の本文を公開することができた。また、同資料についての書誌的な調査の成果も公刊しているので、本年度の研究目的の過半は達成できた。翻刻作業の経緯の中で新たに判明した語法・語彙・音韻上の問題については口頭で研究発表をしている。研究論文の領域は、本文の確定の基礎作業が終了した後に網羅的に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究補助員を導入して、組織的に人情本資料の全文活字化作業を行う。今年度に活字化する資料は『春色玉襷』(1868年)・『鶯塚千代初声』(1869年)などである。その成果を大学院紀要その他に公表する。現代東京語成立史の観点から、語法・語彙・音韻上の問題について人情本資料を中心に検討し、その研究成果を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究補助員を導入して、組織的に人情本資料の全文活字化作業を行う。今年度に活字化する資料は『春色玉襷』(1868年)・『鶯塚千代初声』(1869年)などである。その成果を大学院紀要その他に公表する。現代東京語成立史の観点から、語法・語彙・音韻上の問題について人情本資料を中心に検討し、その研究成果を公表する。 学会の参加費用を見込んでいたが、若干の残額が生じたので、それを次年度以降に送ることとした。
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