明治維新前後には「客観」「法律」など数多くの新しい概念を表わす語が生じ、それらは日本の近代化を支えたと考えられる。本研究ではこれらの学術用語の明治期から現代までの消長について調査を行った。明治期の学術用語集『哲学字彙』と様々な資料との照合から、①その三版は「哲学字彙稿本」を元に編集されたこと、②『哲学字彙』の語彙は間接的に、20世紀初頭、上海で宣教師が編集・出版した学術用語集に移植されたこと、③『哲学字彙』編者が執筆した教科書や専門書が、学術用語の現代日本語に影響を与えた可能性があること、などが明らかになった。
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