本研究では、生物言語学は、17世紀の科学革命における近代科学の形成過程と相同的な過程を経て形成されつつあるが、現在のミニマリストプログラム(MP)の中心的な概念である併合(Merge)―基本的統語操作―を含めて説明原理として提案されたメカニズムに因果律の概念が含まれておらず、近代科学としては初期の段階にあることを明らかにした。一方で併合の運動制御起源説を提案し、進化的には言語を構成するすべての機能が他の動物の機能と連続性を保っており、この連続性の観点を基礎としなければ、MPは言語進化の正しい理解に到達できないということを明らかにした。
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