研究課題/領域番号 |
23520585
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
内田 聖二 奈良大学, 教養部, 教授 (00108416)
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キーワード | 日英語比較 / 認知語用論 / 関連性理論 / メタ表象 / 引用 / 話法 / ダイクシス |
研究概要 |
平成24年度は引き続き英語と日本語の言語現象とメタ表象の関係を考察した。英語と日本語の引用とメタ表象との関係については8月に第3回引用・話法の会で発表した。また、紀要論文「強い推意/弱い推意と「雨のなかの猫」」(3月刊行)ではテクストをメタ表象からみることによってHeimingwayの短編「雨のなかの猫」の解釈に新しい視点を提供した。さらに、論文集、Explicit Communication: Robyn Carson's PragmaticsのReview(来年度刊行予定)ではシミリを具体例に論じた。現在、英語、日本語を対象言語として認知語用論の入門書を執筆中である。(来年度後半刊行予定) 韓国語にも精通している、研究協力者O'Grady氏(ハワイ大学)の来日に合わせ、6月に研究打ち合わせを法政大学(東京)で行った。それに基づいて3月にハワイ大学を訪れ、同氏と日本語、英語、韓国語の比較研究の可能性について議論した。その際、言語にみられるメタ表象現象に関して幼児を対象とする実験方法についても話が進み、貴重な示唆を受けた。この成果は来年度の研究に発展させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタ表象がどのように言語表現にかかわっているかについては、日本語の文末表現、たい/たがっている、やる/くれるなどと英語との比較対照を通してわかりやすく解説した入門書を執筆中であり、研究は順調に推移しているといえる。 また、昨年度の韓国Inha大学のE. -J. Noh氏に続き、今年度のO'Grady氏(ハワイ大学)との研究打ち合わせは有益であった。O'Grady氏はメタ表象という観点からの比較研究に興味を抱き、実験方法をはじめ、今後の研究の進展に新しい示唆を与えていただいた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年の来年度はまず、韓国Inha大学のE. -J. Noh氏に研究協力を求め、日本語の特徴を韓国語と比較、検討する。その一環として幼児にたい/たがっている、やる/くれる現象の習得の実態を調査することを予定している。また、同じく関連性理論の立場から日英語の比較に興味をもっているダブリン大学の笹本涼子氏に研究協力を求め、共同研究の可能性を探ることも考えている。 最終的には新しい視点に立った、日英語比較の啓蒙書を執筆を開始したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
奈良大学では専攻する学生がいないため語学関係の専門書が少ないので引き続き関連分野の書籍を整備する。また、上記の研究計画を実施するために韓国Inha大学のE. -J. Noh氏を日本に招聘する。場合によってはこちらからも韓国に研究打ち合わせのため渡航することも考えている。また、可能であれば、ダブリン大学を訪れ、笹本涼子氏との共同研究の可能性を探ってみたい。
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