研究課題/領域番号 |
23520588
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
小林 茂之 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (00364836)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 古英語 / 中英語 / 語順 / 統語論 / 韻律 / 情報構造 |
研究実績の概要 |
後期古英語の散文における語順の変化,後期古英語散文と初期古英語散文・韻文とを比較・分析した.また,古英語後期~中英語初期の12Cの写本を調査し,語順の変化を分析した.研究成果を以下の論文・短信で出版した。
A Change in V3 Word Order in the Peterborough Chronicle.(『ピータバラ年代記』におけるV3語順の一変化)(『聖学院論叢』27-1.2014/11),「古英語の語順と空主語構文」(『聖学院大学総合研究所紀要』No.58.2014/11),Verb-Initial Word Order and Its Influence on Prose in Old English.(古英語における動詞先頭語順と散文におけるその影響)(『聖学院論叢』27-2.2015/3),「『ケンブリッジ大学図書館蔵古英語版旧約聖書(七書)』の言語資料的価値について」(『聖学院大学総合研究所Newsletter』 vol.24-3.2015/3),「『ケンブリッジ大学図書館蔵古英語版旧約聖書(七書)』における God の使用について」(『キリスト教と諸学』29号.聖学院大学キリスト教センター.2015/3)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期古英語と後期古英語~初期中英語との比較によって,英語史における語順の大まかな変化のプロセスを描くことができた.『ピータバラ年代記』(E写本)における Continuations と呼ばれる1122-1154年の部分を分析することで,意味(情報構造)を反映した語順が,後期古英語~中英語初期にかけて減少したと解釈できることを示した.そして,後期古英語散文の V1 語順が初期古英語韻文における韻律構造から引き継がれたものであることを論じた.また,初期英語の基本語順であるV2の衰退について,古英語後期~中英語初期におけるデータ(『古英語版七書』)を示すことができた.したがって,意味と韻律の語順への関与の度合いが変化し,主に統語規則によって語順が決定される時期を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
古英語~中英語の頭韻詩について,調査・分析を進めてデータの蓄積を図る.また,V2 語順の変化について,後期古英語~初期中英語の散文について,調査・分析を進めてデータの蓄積を図る.語順変化に関連する最近の理論的研究を探索し,その動向を踏まえて,理論的観点からデータの解析を行う.さらに,本年度までの研究成果について統合を図る.
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