本研究は、平成23年度から平成27年度にわたる5年間で、「構文交替」を伴う6つの現象を意味的・機能的観点から分析するものであるが、平成27年度の最終年度は、この5年間の総括を含め、これまでの研究が進展し、その成果を着実に出せたと思われる。そして、それぞれの構文の適格性を決定づけている意味的・機能的制約を明らかにし、「機能的構文論」の研究を一層進めたと考えられる。 本年度は、著書として、英語の副詞と数量詞が関わる諸構文を意味の観点から分析した『謎解きの英文法 ― 副詞と数量詞』(共著、くろしお出版)を出版することができ、多くの好意的反応を得ることができた。また、「Time-away構文の適格性条件」と「AgoとBefore」の2つの論文が刊行され、さらに “Functional Syntax”(共著)、“Quantifier Float in Japanese and English” の論文を仕上げ、これらは来年度、Mouton de Gryter社より論文集として刊行の予定である。 本研究は、この5年間にわたり、英語の構文交替を伴う6つの構文を機能的構文論の視点から、語彙意味論に基づく語彙的説明を検討しつつ分析することを目指したが、6つの構文のみに留まらず、他の英語および日本語の諸構文も分析することができた。そして、これら多くの構文の分析において、語彙的説明と構文的説明の両方が相互に関わり合い、複雑な構文事象を織りなしていることが分かるとともに、その適格性に影響を与えている諸要因を的確に捉えることができたと考えられる。その点で、5年間の本研究は大きな意義があり、学界や社会に十分貢献できたと思われる。
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