研究課題/領域番号 |
23520608
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅谷 奈津恵 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (90434456)
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キーワード | 第二言語習得 / 文法 / 動詞形態素 / 反応潜時 / プライミング実験 / 台湾人学習者 / 動詞テ形 |
研究概要 |
動詞活用は言語学や第二言語習得研究において注目される研究対象であり、日本語教育においても重要な学習項目とみなされている。日本語の動詞活用の習得とそのメカニズムを明らかにするという本研究の目的に従い、平成25年度は、以下のように理論的研究とデータ収集・分析、及び、成果発表を行った。 1.動詞を中心とした形態素の処理・習得に関する先行研究を検討した。その成果の一部として、動詞テ形の習得研究を中心としたレビュー論文を作成し、これまでの知見と今後の研究課題について論じた。 2.平成23年ー24年度に実施した台湾人学習者と日本語母語話者のテ形実験の分析を進めた。実在動詞を用いた実験では、母語話者には動詞タイプによる違いが見られなかった。一方、日本語学習者には動詞タイプの影響が見られ、-iru/-eru、-(w)u/-ruが困難なことがわかった。これらの動詞における困難点には、促音の難しさが関わっている可能性がある。以上の結果は、台湾日本語教育国際学術シンポジウムにてポスター発表を行った。研究結果はシンポジウム予稿集にも論文として発表した。 3.2の実験は意識的な動詞の処理を検討したものであった。無意識的な動詞形態素処理を検討するためにプライミング実験を計画し、日本語母語話者、日本語学習者を対象に予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に従い、平成25年度は、これまでに収集した実験結果を台湾の国際シンポジウムにおいて発表を行った。その際には、日本語教師や学習者の立場から有益なコメントを得ることができた。また、理論的研究の成果としては、テ形習得研究のレビュー論文も発表している。以上の成果をもとに、新たな実験計画と予備実験を実施しており、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23~25年度に得られた成果を発展させ、以下のように研究を進める。 1.平成25年度に引き続き、日本語母語話者、学習者を対象とした動詞活用に関するプライミング実験を実施する。 2.これまでに収集したデータの入力・分析を進め、動詞活用において学習者がどのような方略を取っているか、またそれは日本語学習の進行によって変化していくのか、日本語母語話者との比較も含めて検討する。 3.1、2の成果について、関連分野の専門家から助言を得るため、国内外の研究会・学会において、口頭発表及び論文発表を行う。総合的な研究成果は報告書にまとめるとともに、その概要をホームページを通して一般に公開する。
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