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2012 年度 実施状況報告書

パーソナル・テリトリーとポライトネス・ストラテジーに関する日韓中対照研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520610
研究機関筑波大学

研究代表者

許 明子  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10322611)

研究分担者 関崎 博紀  筑波大学, 人文社会系, 助教 (30512850)
キーワードパーソナル・テリトリー / ポライトネス / ストラテジー / 日韓中対照研究 / 日本語教育
研究概要

日韓中のパーソナル・テリトリーに属する事柄(所有物、属性、外見、能力など)について言及するかしないか、また言及する場合は何に対して言及するのか、どのような表現を用いて言及するのかについてアンケート調査を行い、分析を行った。また、言及しない場合は、その理由について記述してもらい、日韓中の言語発想にかかわる要因について分析を行った。分析の結果、日韓、日中、韓中の間にはそれぞれ類似点と相違点が存在していることがわかった。日本では年齢について言及する割合が高い反面、中国では年齢および個人情報にかかわる事柄については言及しないという傾向が現れた。また、韓国では相手の能力について言及する割合がもっとも低く、パーソナル・テリトリーの中でも最も中心部に位置していることがわかった。
以上の分析の結果については、日本語教育国際大会(於名古屋大学)および社会言語科学会第30回大会(於東北大学)にて口頭発表を行い、他の研究者と意見交換を行った。
韓国人、中国人日本語学習者は上級レベルに達した学習者であっても、相手に不快感を与える発話をすることがある。その背景には日本、韓国、中国の間にパーソナル・テリトリーに関係する事柄の捉え方に相違点が存在していることが考えられる。日本語でコミュニケーションを行う場合、文法的な正しさだけではなく、相手と友好な関係を築くためのストラテジーについても指導する必要がある。日本語の学習や運用力の向上のための指導法を提案する上で本研究の分析結果は大きな役割を果たすものと期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の目的は、韓国人、中国人日本語学習者に円滑な日本語のコミュニケーション活動が行えるようにするための基盤研究として、言語発想や談話の分析を通して、日韓中のパーソナル・テリトリーの概念について類似点、相違点を明らかにするものである。日本国内で日本語を勉強している韓国人、中国人学習者を対象に記述式アンケート調査および選択式アンケート調査を行い、分析を行った。その結果、韓国、中国の学習者のパーソナル・テリトリーに関する意識の傾向が見られるとともに、パーソナル・テリトリーをどのようにと耐えているのかという考え方のいったんを見ることができた。また、韓国内で日本語を専門として学んでいる韓国人学習者を対象に調査を行い、分析を行った。韓国内で日本語を学んでいる学生と、日本国内で日本語を学んでいる学習者の間には大きな違いはなく、類似した傾向jが見られた。つまり、日本語を学ぶ際に、学習環境による影響より、母語による影響のほうが大きいということが言える。その分析結果については学会において研究成果として発表している。
以上のように、日本語学習者の現状把握および背景について明らかにした点で現在まではおおむね順調に進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

今までの調査方法はアンケート調査による分析方法を採用してきたが、今後は実際に学習者を対象としたフォローアップインタビューや個別のインタビューを通して、言語発想面や話し言葉における表現的な特徴を分析し、アンケート調査の結果と比較する必要がある。韓国だけではなく、中国国内で日本語を学んでいる学習者を対象にインタビュー調査を行い、検証する必要がある。
今までの記述式、選択式のアンケート調査による分析成果を踏まえて、口頭によるインタビュー調査を行うことで、日本語学習者の文化的な背景や学習環境についても分析をすることができると期待している。今後はさらなる追加調査および口頭インタビュー調査を行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

中国国内(北京、上海、大連)で日本語を学んでいる学習者、韓国国内(韓国ソウル、釜山)で日本語を学んでいる学習者を対象に記述式、選択式のアンケート調査を行う予定である。中国への出張のための旅費として使用したいと考えている。また、研究成果の発表のために学会への出張などが必要なため、研究成果発表の旅費に使用する予定である。
H24年度の当初の計画としては、中国、韓国内で日本語を学んでいる学習者を対象にアンケート調査およびインタビューを実施する予定だったが、韓国人学習者を対象とした調査は実施できたが、中国人学習者を対象とした調査は研究協力者(大連外国語学院大学)によるアンケート調査によって分析を行った。そのため、H24年度の所要額の予定より差額が生じている。H24年度に実施を予定していた中国人学習者を対象とした調査および分析はH25年度に実施し、日本、韓国、中国において日本語を学んでいる学習者の比較分析を行う予定である。
H25年度は本研究課題の最終年度であるため、研究成果について報告書としてまとめ、一般に公開したいと考えている。報告書の作成、郵送などに研究費を使用したいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 学習者のための中級日本語教育文法のあり方2013

    • 著者名/発表者名
      許明子・宮崎恵子・青木幸子
    • 雑誌名

      『筑波大学留学生センター日本語教育論集』

      巻: 第28号 ページ: 48-56

    • 査読あり
  • [学会発表] 日中大学のパーソナル・テリトリーへの言及可否に関する社会心理学的研究2012

    • 著者名/発表者名
      関崎博紀・許明子
    • 学会等名
      社会言語科学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20120901-20120902
  • [学会発表] パーソナル・テリトリーにかかわる発話の日韓中対照研究ー日本語母語話者と韓国人・中国人日本語学習者との比較を通してー2012

    • 著者名/発表者名
      許 明子
    • 学会等名
      日本語教育国際研究大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20120818-20120819
  • [図書] 『日本語教育学研究ーその核心から周辺領域まで―』「依頼場面における日韓両言語の談話構成―日本語母語話者と韓国人日本語学習者の比較を通して―」2013

    • 著者名/発表者名
      許明子
    • 総ページ数
      290
    • 出版者
      スリーエーネットワーク

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公開日: 2014-07-24  

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