研究課題/領域番号 |
23520620
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
近藤 彩 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (90377135)
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研究分担者 |
金 孝卿 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員准教授 (30467063)
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キーワード | 国際研究者交流 / インド:中国 / ビジネス / コミュニケーション / 多文化理解 / 協働 |
研究概要 |
日本及び海外(特にアジア諸国)の企業内外のコミュニケーション手段として日本語が使用されることが多い中、数多くの問題や摩擦が生まれている。本研究では、その解決に向けて、ビジネスコミュニケーション能力について明らかにすることを第一の目的としている。そして第二の研究目的は、能力を育成するための教材開発と効果の検証、第三の目的はビジネスコミュニケーション能力の評価ツールの開発である。24年度は第一・第二の目的を遂行するため、次のことを行った。 (1)23年度に発表をした教材『ビジネスコミュニケーションのための日本語』の効果を、インタビュー(教師・学習者)、授業観察、実践授業、ワークショップ等から検証した。検証後に一部を修正し、『課題達成のためプロセスで学ぶビジネスコミュニケーション』として発表した。(2)科研で行われたインタビュー調査から教材開発に至る経緯と、一連の研究成果、そして(1)の開発教材について、発表を行った。(発表:ヨーロッパ教師会、豪州日本研究学会研究大会(メルボルン)、招聘講演:シドニー日本文化センター)(3)インタビュー分析の結果から、問題発見解決力を強化することが必要とわかり、企業内外で生じた摩擦や問題について事例(ケース)を書き、ケース教材の開発に取り組んだ。一部を、シドニーの招聘講演で紹介、ワークショップも行った。(4)(1)から(3)をまとめ、「ビジネス日本語の新たな学習デザイン」として提言した。(日本語教育国際研究大会) (5)上記の研究成果を企業と地域(コミュニティー)に還元するために、企業(製造業)や富山でセミナーを行った。企業や地域の課題について議論をし、今後の支援の方向性について検討を進めた。 その他、日本語教育学会の教師研修委員として研修を行い、上記の知見を広めた。また、ビジネス日本語研究会を運営し、教師間等のネットワークづくりを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ビジネスコミュニケーション能力を育成するための教材を作成し、それを使った授業の実施、観察、インタビューを行い、改善すべき点を見出し、新たに『課題達成のプロセスで学ぶビジネスコミュニケーション』にまとめた。 ②ビジネスコミュニケーションの新しい教育方法である「ケース学習」を打ち出し、それに基づく教材の開発とワークショップを推進し、効果を検証している。 ③名古屋で開催された日本語教育国際研究大会で「ビジネス日本語の新たな学習デザイン」というパネルセッションを企画・実施し、提言を行った。研究協力者4名とフロアーとともに、今後の日本語教育の在り方について議論をした。 ④本研究に対して企業の関心も増し、企業の人材育成部門で、本研究のケース学習に関する知見が活かされている。
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今後の研究の推進方策 |
開発したケース学習の効果を引き続き検証していく。日本語教育の教師研究のみならず、外国人を雇用している、あるいは雇用を予定している企業に向けたセミナーやワークショップを行い、本研究の知見を発信していく。同時に教師や企業からのフィードバックを、今後の研究(教材開発、能力記述文の作成を含む)にいかしていく。 これまでの研究成果を基に、7月にオーストラリア(キャンベラ)で行われる豪州日本研究学会(JSAA)でパネルセッションを行う予定である。 国内では日本語教育学会秋季大会で発表予定。 ビジネス・コミュニケーション能力の評価ツールをオンライン上で実施できるかを検討していく予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年7月にオーストラリアで行われる豪州日本研究学会(JSAA)研究大会(キャンベラ)において、これまでの成果をパネルセッションで発表、議論する予定であり、その旅費に充当する。10月に行われる日本語教育学会秋季大会(関西)への参加費・旅費にも充てる予定である。 開発した教材を使い実験授業を行った際の参加者への謝金、文字おこしや、ケース教材をシナリオの形にする際に生じる謝金等に充てる予定である。
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