研究課題/領域番号 |
23520621
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鎌田 倫子 富山大学, 大学院医学薬学研究科(医学), 教授 (10334731)
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研究分担者 |
中河 和子 富山大学, 大学院医学薬学研究科(医学), 非常勤講師 (00456401)
後藤 寛樹 富山大学, 留学生センター, 准教授 (30324031)
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キーワード | 国際研究者交流 アメリカ合衆国 / エンパワメント評価 / 日本語教育プログラム / アメリカ評価学会 / ミッション策定 / 対話活動クラス / 初級コース改革 / フォーカス・グループ・インタビュー |
研究概要 |
平成23年度、外部評価者のガイドの下に、エンパワメント評価を開始、当該プログラムのミッションを策定し、それに沿って、コース目標、学習達成目標を整備し、目標の達成を見るための指標を明らかにして、クラス内の活動や期末試験などを目標に沿って整備することが、評価目標とされた。それを受けて、平成24年度、前・後期に、研究代表者と研究分担者の一人が所属する富山大学杉谷キャンパス日本語コースにおいて、エンパワメント評価の実践を2学期間、実施した。 平成24年度前期には、外部のステークホルダーである薬学部長の要請を受けて、日本語教育を充実するために①初級コースのAB、2クラスを統合し、初級を半年間で修了するコース改革を試行した。また、地域日本語教育の知見を生かした②「対話活動クラス」を3つ日本人支援者を入れて展開し、学習者の発話力の養成と現実の生活に働きかける力の育成を目指した。また、教員会議は一貫して、外部評価者の助言により導入された「ディスカッション・ルール」を守り、全ての構成員の発言を保障して、民主的な参加や参画の原理の達成を目指した。 後期には、前期と同様の統合初級コースを実施し、サポーターを強化して3つの対話活動クラスを推進した。後期終了後、学習者から、より率直なニーズとコース評価を受けるために、フォーカス・グループ・インタビューを学習者に4回、留学生のチュータ-に1回実施して、後期のコース評価を行った。 これらの評価実践を元に、24年度日本語教育国際大会でポスター発表、アメリカ評価学会で口頭発表、『富山大学杉谷一般教育研究紀要』に実践報告を研究論文として発表した。それにより、留学生教育や地域日本語教育からのエンパワメント評価の可能性に関する問合せがあり、アメリカ評価学会では、日本の評価文化に対する有意義な意見交換をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<平成24年度評価> 4項目の平均89%を達成。 1)アメリカから外部評価者を招き、引き続きエンパワメント評価実践を続けた。前期コースの前後に学習者の日本語能力の達成意識を調査、教員の活動についての中間アンケート調査、後期に学習者とチューターのフォーカス・グループ・インタビューを計5回実施した。エンパワメント評価会議によりコース目標の改訂を続け、文言を改訂してミッションを確定した。(エンパワメント評価の実施)85%達成。 2)前後期に初級クラスを統合するカリキュラム改革を実施し、また、地域日本語教育の知見を元に日本人サポーターを入れた対話活動クラスを3レベルで実施した。(日本語プログラムの改善)90%達成。 3)学内のステークホルダーの要請を受けて、初級を早く修了するために、初級クラスを統合するコース編成を実施し、後期には薬学部の支援により、日本語コースのクラスが3コマ増強された。(外部ステークホルダーとの連携)85%達成。 4)エンパワメント評価の実践について、日本語教育国際大会でポスター発表、アメリカ評価学会で口頭発表、『富山大学杉谷一般教育研究紀要』に研究論文を発表した。(エンパワメント評価の実践法の研究)95%達成。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度前期までエンパワメント評価(EP評価)実践を継続する。プログラム当事者によるEP評価会議で評価計画の策定と実施、データ収集と分析を行う。平成24年度後期の初級クラスの統合コース編成の達成や出席状況を見直し、分析した結果、平成25年度前期には、中級者の増加により中級レベルの増強が望まれていると判断し、選択コマ数を増やす形で、中級クラスの増強を図るコース編成に修正した。平成24年度後期入学の学習者が初級から上がり、中級の学習者が増えたことに対処したものである。このようにきめ細かいコース編成を、教員がより主体的に行うようになった経緯を事後の教員PAC分析等でさらに細かく分析し、エンパワメント評価の成果として報告する予定である。 ミッションと合致した到達目標の更なる整備、到達度を測る精緻な指標作りという最終目標に向けて、外部評価者を招聘して9月にEP評価ワークショップを開催する。プログラム当事者によるEP評価会議を適宜4回程度開催する。また、社会的エンパワメントを目指すため、学習者、専門教員、事務等、広義の関係者(ステークホルダー)をどのようにEP評価に巻き込むか考えて、それぞれに対策をとる。関係者とプログラム目標の見直し、問題点や評価結果の共有を図り、関係者にエンパワメント評価を周知する。 平成25年度後期には、平成25年度前期までに実施した、学習者のフォーカス・グループ・インタビューや教員のPAC分析データ等、採集した質的データの分析を行い、評価報告書を作成する。 平成25年度エンパワメント評価実践計画:1)EP評価ワークショップ(9月)により評価計画全体の達成をみる。2)平成25年度前期までエンパワメント評価を実施し、評価データを収集する。3)評価結果をまとめて評価報告書を作成する。4)エンパワメント評価の実践法について研究の成果を発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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