研究課題/領域番号 |
23520625
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
矢崎 満夫 静岡大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50432191)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 日本語教育の振興 / 年少者 / アニメ / 動機づけ / コミュニケーション活動 |
研究概要 |
日本の将来の発展や良好な国際関係の構築を考えたとき、市民レベルにおける日本のよき理解者を世界的に増やすことが重要である。そのためには、海外における日本語教育の振興は欠かせない。特に世界の日本語学習者の約6割を占める年少学習者(小学生~高校生)が、日本語および日本文化に興味を持って学習を続けていければ、やがて日本と世界との架け橋となる人材が育つ可能性は高まっていく。しかし、海外の年少学習者の日本語学習上の大きな課題として「学習者不熱心」が指摘されている。その課題に対処するため、本研究者は世界の青少年層に広く受け入れられている日本のアニメを「日本語コミュニケーション活動のための素材」として効果的に活用する手法を開発した。本研究は、国内外での実践研究をもとに当該活動手法「アニメで日本語」の有用性について検証を試みるものである。 まず、国内においては1年間にわたり、ブラジル人学校において月1回程度、当該校の日本語教員に小中学生に対する「アニメで日本語」を用いたアニメ授業を実践してもらった。一定期間授業を行った後、授業を受けた生徒たちに対して動機づけに関するアンケート調査を実施した。その結果、90%以上の生徒たちから「普段の日本語授業と違ってとても楽しい」「日本語の勉強にも役に立つ」「これからもアニメ授業を受けたい」等の肯定的な評価が得られた。海外では、スペインと中国において現地の日本語教員を対象としたワークショップ研修会を数回開催し、当該手法の普及に努めた。また、中国においては高校生を対象に本研究者および現地日本語教員が当該アニメ授業を実践した。教員研修会およびアニメ授業の事後には、国内同様のアンケート調査を実施した。その結果、現地の日本語教員からも、授業を受けた生徒たちからも、上述したブラジル人学校と同様の肯定的な評価が得られていたことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、日本のアニメを活用した日本語コミュニケーション活動「アニメで日本語」の年少学習者に対する動機づけの効果の検証と、「アニメ活用ストラテジーの収集と精選・蓄積化」が主な目標であった。国内外における実践研究を通じて必要なデータ収集を行うことができたことから、その目標はほぼ達成できたものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、オリジナルアニメを開発し、そのアニメに基づいた「アニメで日本語」のサンプル教材を開発する。海外の現地教員が年少学習者に対してすぐに授業が実施でき、かつ「アニメで日本語」の活動手法を理解して他のアニメ作品にも応用できるよう、魅力ある教材としていく予定である。25年度は当初の計画通り、国内外においてその教材の有用性についての検証を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
オリジナルアニメとその教材開発費に約100万円、国内外の旅費に約50万円、翻訳謝金等に約50万円、その他に約40万円を予定している。
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