研究課題/領域番号 |
23520625
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
矢崎 満夫 静岡大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50432191)
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キーワード | アニメ / 日本語教育 / 年少者 |
研究概要 |
海外の日本語学習者約365万人のうち、その約6割を初等中等教育機関に属する年少学習者が占めているが、彼らの日本語学習上の問題点の1つとして、「学習者不熱心」が挙げられている。本研究者はその問題に対処するために、世界の青少年層に広く受け入れられている日本のアニメを「日本語コミュニケーション活動のための素材」として活用する手法を考案した。当該学習手法「アニメで日本語」は、学習者がアニメの視聴後に、仲間同士の「アニメ世界の共通体験」に基づき、様々なコミュニケーション活動を行うものである。平成23年度には、国内外の年少学習者に対する授業実践研究によって、「アニメで日本語」の動機づけに関する有効性が確認された。そこで平成24年度には、「アニメで日本語」の世界的な普及を目指して、オリジナルのアニメ作品を開発することにした。その際、特に以下の4点について留意をしながら開発を進めていった。 1 海外の日本語学習者の過半数を占めている、中等教育段階の学習者(中学・高校生)を念頭に置いた作品とすること。2 日本語等を教えるための教材」というよりも、年少学習者が純粋に楽しめる、1篇のアニメ作品として仕上げること。3 アニメ作品の中に出てくる日本語表現・語彙は、できるだけ多様なものとなるよう心がけること。4 日本ならではの文化的要素を取り入れるようにすること。 オリジナルアニメの開発にあたっては、本研究者は多くの国内関連施設を回り、アニメ開発の工程や日本のアニメ作品の特徴等に関する情報収集に努めた。 当該オリジナルアニメ作品の開発によって、今後は著作権の問題を気にすることなく「アニメで日本語」の普及活動を進めていくことが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
より良い作品にしたいという思いから、アニメ制作会社のスタッフと脚本や映像、音声等に関して頻繁に議論を行った結果、オリジナルアニメの完成が大幅に遅れてしまったことによる。そのため、年度内に予定していた各国語版字幕の翻訳作業や作品をもとにした教材作成等を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、まず日本語のセリフに対応する各国語版字幕の翻訳作業を行う。言語は、現段階では英語・中国語・韓国語・インドネシア語・スペイン語・ポルトガル語の6言語を予定している。次にオリジナルアニメ作品をもとにしたサンプル教材(絵カードや活動集等)を作成し、それらを「アニメで日本語」の専用ウェブサイトに掲載して海外の日本語教育関係者の利用に供せるようにする。その後、国内外国人学校や海外の日本語教育現場において、教員研修会や年少学習者に対する授業実践を行い、「アニメで日本語」の世界への発信を展開していく。また、「アニメで日本語」の活動手法の有用性についても日本語教員や学習者に対する調査を通じて検証を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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