平成23年度には、日本のアニメ作品に関する情報収集を行うと同時に、『アニメで日本語』の活動手法が特に年少者の動機づけの面でどのような有効性が見られるかを検証することを目的に、国内外の教育現場において授業実践に基づく調査を実施した。同24年度には、『アニメで日本語』の普及を目指すうえで著作権の問題が払拭できないことから、オリジナルのアニメ作品を開発した。同25年度には、そのオリジナルアニメを国内外での利用に供することを目的として、英語・中国語・インドネシア語・ポルトガル語・スペイン語・韓国語への字幕の翻訳作業を行い、各言語によるDVD映像資料を作成した。 研究期間を延長して最終年度となった同27年度には、これまでの研究成果をまとめる活動を行った。まず、6月の異文化間教育学会では、前年度に最終的な完成を見たオリジナルアニメの評価に関する研究発表を行った。国内の外国人学校において年少の学習者を対象に当該アニメ作品を見てもらい、アンケート調査を行った結果、「全体の面白さ・ストーリー性・キャラクター設定・声優・効果音・音楽」等の面で高い評価が得られていることがわかった。その一方で、「ワクワク感・感動の度合い・共感性・アニメ映像の動き」の面では、比較的低い評価となっていたことがわかった。また、『アニメで日本語』の活動手法については、中国の年少者教育現場において、日本語学習の経験がない児童に対して行った当該活動実践の調査結果を研究論文としてまとめた。そこでは、『アニメで日本語』の授業実践を行うことによって、児童らの「日本・日本語・日本人」に対する意識がより良いものへと変容していることがわかり、将来的な「言語意識教育」への応用が期待されるとした。そして年度末のベトナムにおける実践研究結果も踏まえて、オリジナルアニメを基にした日本語学習活動50のストラテジーの精選化を図った。
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