研究課題/領域番号 |
23520627
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
川口 直巳 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (60509149)
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キーワード | ブラジル人児童生徒 |
研究概要 |
現在日本に滞在している日系ブラジル人達の多くは、滞在長期化、定住化傾向にあると言われている。公立学校に在籍する彼らの子どもの多くは、教科学習内容の理解が進まず、高校進学にも影響を与えており、深刻な問題となっている。本研究は実態調査と共に、立場が違う複数のブラジル人児童生徒受け入れ学校の相互理解から、連携したケアの指針を目指すことを目的とし、24年度は主に下記の3つを実施した。 ①ブラジルから講師を招いての講演会:サンパウロ州教育庁に在勤中、帰伯児童生徒への支援に携わっていた日野寛幸先生の講演会(テーマ:「自己教育体験と帰伯児童教育の現状」)を実施。 ②ブラジル人学校での調査:ブラジル人学校の教員を対象に実施した面接調査及びアンケート調査から、教師は公立学校に在籍経験のある児童生徒にに対して、「規則を守る」、「学びに献身的」、「行儀がいい」といったマナー的な部分への評価は高いものの、逆に、授業に対する姿勢では「分かっている答えでも自分から答えることをためらう」、「無意欲」、「無感覚である」といった低い評価があることも明らかとなった。 ③ブラジル調査:帰国した子供たちが在籍する学校、来日経験がある子どもとその保護者にアンケート調査やインタビュー調査を行った(縦断調査)。また、日本語とポルトガル語での絵画語いテストを実施し、帰国後両言語の語彙力にどのような変化があるかを調査した(縦断調査)。その結果、帰国後日本語の語彙力だけでなく、ポルトガル語の語彙力もあまり伸びが見られない生徒の存在が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度実施したブラジル人学校教員対象の面接及びアンケート調査が、スケジュールの調整が難しかったことから大幅に遅れた。そのため、24年度に予定していた同学校における公立の小中学校在籍児童生徒とその保護者対象のアンケート及び面接調査がの25年度に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は下記の計画で研究を推進していく予定である。 ①23年度、24年度の調査分析と報告(発表)。23年度と24年度で収集したデータを分析し、報告書を作成し、調査校や調査対象者、学校教育課へ報告。また、学会で調査結果の発表を行う。 ②相互理解に向けての第2回研究会の実施:第1回研究会で不十分となったところを補い、外国人児童生徒への具体的なケアについて検討する。 ③調査によるデータ収集:25年度は次の2か所で調査を予定している。1、ブラジル人学校での調査:公立の小中学校在籍児童生徒とその保護者対象の面接及びアンケート調査、2、ブラジル調査:帰国児童生徒、保護者、教員対象インタビュー調査(縦断調査も含む)、語彙調査(帰国児童生徒対象、縦断調査も含む)。 ④本研究のまとめ:これまでの調査より明らかになったことをまとめ、具体的なケアの提案も含めた報告書を作成し(日本語版とポルトガル語版)、日本の公立学校、ブラジル人学校、ブラジルの帰伯児童生徒受け入れ校に配布。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に予定していたブラジル人学校でのアンケート及び面接調査(公立学校在籍経験児童生徒とその保護者対象)が、他の調査の関係で実施できなかったため、この調査にかかわる謝金等の研究費の使用ができなかった。この調査は25年度に実施予定である。 25年度の研究費においては、上記の研究計画に基づいて適切に使用する予定である。
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