研究概要 |
本研究は,終助詞を中心に,日本語の文末イントネーションの全体像をつかむことにより,日本語教育の分野において,教師も学習者も利用できるような指導書を作成し,教材開発の基礎を築くことを目的とするものである。 まず,日本語母語話者が地域を問わず理解している音調の実態を明らかにする必要があるため,聞き取り調査及び録音調査をおこなった。平成23年度に計画していたように,聞き取り調査で使用する音声資料をみなおし,12分程度でできる調査に改め,中国・四国地域の学生を中心に調査をおこなった。また,同じ調査を中国語母語話者および韓国語母語話者にも実施した。 この調査結果については、終助詞「よ」「ね」の音調について -日本語音声教育の視点から-, 香川大学教育学部研究報告第I部 第139号,香川大学教育学部 において報告された。今回は調査対象が上級日本語学習者であったためか,日本語母語話者と同じような回答傾向もみられたが,「やるよ」の順接・平坦,「やるね」の順接・アクセント上昇など、いくつか学習者と母語話者で異なる結果となるものもあったほか,香川と岡山で差があったもの(「本当だね」平坦)もあった。また,同じ終助詞で終わる文であっても,述語が名詞(+だ)か動詞かによっても違いがみられるようであり,今後の検討課題として取り組むことにした。
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