研究課題/領域番号 |
23520635
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (50294484)
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キーワード | 宣教師 / 日本語 / 日本語学校 / 日米外交 |
研究概要 |
平成24年度は、「日米外交政策における日本語学校(日語学校)の創設の意義」を明らかにすることを目的としていた。そのために、第一に、日露戦争前後の日米外交政策における来日宣教師の動向を明らかにすること。第二に、日本人キリスト者や政財界の人物を中心として設立された大日本平和協会の創設過程を分析すること。第三に、来日したアメリカ人宣教師やアメリカ人外交官を主体とする在米日本人平和協会の創設過程を解明するという3つの課題をあげていた。 平成24年度は関西大学、京都大学、明治学院大学に所蔵されているアメリカ国務省記録の調査により、上述の3つの課題について整理することができた。さらに、イギリスの平和協会の機関誌であるPeace and goodwillや、フレンド派の機関誌であるThe Friends、 Friend' Missionary Advocate、The Advocate of Pecace の調査を開始した。加えて同時代の日本における日本語教師の活動状況や日語学校の実態についても資料調査を行った。日本語教師の活動については、個人文書の分析を行い、特に資料として家計簿を使用して日本語教育の実態を解明した。日語学校については、日系二世に対する日本語教育に焦点をあてた。これらの研究については、国内学会と国際学会で口頭発表した。平成24年度は資料調査を中心に行ったため、当初掲げていた課題に対して、全体の資料調査を終えることができた。しかし学術論文や学会発表を通して、課題の全てを研究成果として公表するには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、関西大学、京都大学、明治学院大学に所蔵されているアメリカ国務省記録の調査を中心に行ったが、マイクロフィルムによる資料の解読には労力と時間がかかった。 平成24年度は、当初の課題であった1900年代の日米外交政策と来日宣教師の動向と、大日本平和協会や在米日本人平和協会の創設過程について、資料を整理することが出来た。しかし論文を執筆して公開するまでには至らなかった。 さらに途中段階から、同時代の日本語教師の活動や日語学校の教育の実態も合わせて調べ、集約できた部分について口頭発表を行った。これらについても、平成25年度には論文化したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度からの課題を明らかにするため、アメリカ国務省記録の調査と解読を行うことに専念した。その結果、日米外交政策における来日宣教師の動向と大日本平和協会、在日米人平和協会の創設の意義について、内容を整理することができた。しかし論文執筆までに至らなかった。平成25年度は、24年度に残してしまった論文の執筆を行いたい。 次に平成25年度は、本研究の最初の段階では平成24年度の課題であったフレンド派宣教師の平和事業と日語学校の関連性を解明する研究に着手する。そのために、平成24年度に収集したフレンド派宣教師の資料の分析を開始する。次に、ハーバーフォード大学のクエーカー・コレクションが所蔵しているギルバート・ボールズの個人文書やフレンド派ミッションの年次総会記録、さらにスワースモア大学の平和文庫が所蔵するアメリカ平和協会資料を悉皆収集する。 新資料の解釈と史実については、キリスト教史学会で口頭発表し、研究成果については『キリスト教社会問題研究』に投稿を経て公表していきたい。また、6月に中国マカオで開催される第8回 International Convention of Asia Scholarsで口頭発表を行い、英語論文も作成していきたい。 以上の研究を踏まえて、平成25年度は2年間の研究で明らかになった事実について、研究内容と矛盾がないかを確認し、アメリカ平和協会の動向と日語学校との関連について明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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