研究課題/領域番号 |
23520637
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松本 久美子 長崎大学, 留学生センター, 准教授 (70295111)
|
キーワード | グローバル人財育成 |
研究概要 |
本研究は、留学生交流を通した大学の国際化およびグローバル化時代に求められる人材育成という観点から、留学生交流推進の核となる学部教育レベルでの交換留学(派遣)促進のための方策(教育方法)を提言し、その効果を検証することを研究目的としている。具体的には “短期海外語学研修”(3週間:必修科目単位認定)プログラムと学内における留学生との交流プログラム(会話パートナープログラム)を、教育的配慮を持って連携させることにより相乗効果を狙うことで留学効果を学内にも波及させ、現時点では留学が難しい大多数の学生にとって通常は海外に留学することによって得られる効果を現在在籍している大学においても最大限得られるようなシステムの構築を目指している。 平成24年度は平成23年度に引き続き短期海外語学研修(韓国語)参加者(学部2年生)に対して質問紙調査と面接調査を実施した。質問紙調査については参加前・参加直後に全員に対して、面接調査については質問紙調査の結果をもとに5名に対して実施した。また、会話パートナープログラム参加者に対しては前期参加者と後期参加者に対して、質問紙調査を7月と2月に、面接調査を9月と3月に実施した。 調査の結果、韓国語研修および会話パートナープログラム参加者とも、ほぼ全員に異文化理解、視野の広がり、積極性の向上等が見られ、留学に対する意欲も向上していることがわかった。留学相談件数も増加しており、実際に交換留学生(1年間)として協定校へ留学した学生も出てきている。また、韓国語研修後、留学生の会話パートナーやチューターとして積極的に活動する学生も多くみられるのと同時に、1年次・2年次の会話パートナープログラム参加者で語学研修や交換留学に参加したり、チューターとして活動する学生も増加している。以上の研究実績からグローバル人財育成に果たす本研究の役割は非常に大きいと思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に引き続き平成24年度も短期海外語学研修(韓国語)参加者(学部2年生)に対して2回目の質問紙調査と面接調査を実施した。また、会話パートナープログラム参加者に対しては3回目の質問紙調査と面接調査を前期参加者に対して、4回目の質問紙調査と面接調査を後期参加者に対して実施した。 これらの調査結果から、韓国語研修および会話パートナープログラム参加者とも、ほぼ全員に異文化受容、視野の広がり、積極性の向上等が見られ、更に留学に対する意欲も向上していることがわかった。また、韓国語研修後、留学生の会話パートナーやチューターとして積極的に活動する学生も多くみられるのと同時に、1年次・2年次の会話パートナープログラム参加者で語学研修や交換留学に参加したり、チューターとして活動する学生も増加している。 以上のように、短期語学研修および会話パートナープログラムともグローバル人材に必要とされる素養を育成する効果があること、また、双方に相乗(補強)効果があることが示唆された。本研究では調査結果を分析・考察するにあたって、2012年度からPAC分析を加えている。これにより、学生の意識変容についてより詳細な分析が可能になると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度についても前年度と同様に、海外語学研修(韓国語)参加者と会話パートナープログラム参加者に対して質問紙調査と面接調査を実施する。 海外語学研修(韓国語)については、9月実施予定の研修(韓国語)参加者に対する渡航前、帰国直後の質問紙調査とその結果をもとにした面接調査を実施する。また、前年度参加の学生に対し追跡調査を行う。会話パートナープログラムについてはプログラムに参加している日本人学生に対し、7月下旬及び2月下旬に質問紙調査及び面接調査を実施する。前年度の結果と比較し、もし大きな差異があれば、その要因を分析・調査するとともに、次年度の調査の参考資料とする。 これに並行して、韓国語研修・会話パートナープログラム参加者用の Facebookグループ作成を通じた学生の意識に関する質的調査を行う。上記プログラム参加学生に協力を依頼し、学生のアイデアをもとにFacebookにグループを作成・運営する。作業および運営担当学生から国際交流・異文化理解等に関する意見や学生自身の意識変容についての聞き取りを行うとともに、グループ運営者の一人として Facebook上での交流の参与観察を行う。 *世界情勢等、何らかの理由で韓国語研修が実施できなかった場合、当該年度については他の第2外国語研修参加者(中国語・ドイツ語・フランス語)の参加者を対象に調査を行う。どの言語についても実施担当者は同僚であり、協力依頼を要請することができる。また、平成26年度に韓国語研修の調査を実施する。 平成26年度はグループ運営者の一人として Facebook上での交流の参与観察を継続しつつ、平成23年度から平成25年度に渡って実施した調査結果をまとめ、国内外の関連学会・研究会で報告し、共同研究への足掛かりとする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1. 9月にイスタンブールで開催されるEAIE年次総会に参加するため、参加費および旅費として45万円程度必要である。また、研究協力者との打ち合わせ、研究発表のための国内旅費として15万円から20万円程度を予定している。 2. 質問紙調査の集計の外注および調査協力者に対する謝金10万円程度の支出を予定している。 3. その他、研究に必要な書籍等の購入に5万円程度を予定している。
|