本研究は4年の期間を設けて、留学生交流を通した大学の国際化およびグローバル化時代に求められる人材育成という観点から、留学生交流推進の核となる学部教育レベルでの派遣促進のための方策(学生にとっては主体的学びの場)を提言し、その可能性と有効性の検証を試みるものである。具体的には 長崎大学が実施している「短期海外語学研修:韓国語」プログラムと学内における留学生との交流プログラムである会話パートナープログラムを調査対象とし、平成23年度から25年度に渡り、両プログラムに参加した日本人学生に対して質問紙調査及び面接調査を定期的に実施、分析のための基礎的なデータを蓄積してきた。最終年度に当たる平成26年度はグローバル人財育成の観点からこれらのデータを総合的に分析し、その効果について検証を試みた。 分析の結果、韓国語研修および会話パートナープログラム参加者とも、ほぼ全員に異文化理解、視野の広がり、積極性の向上等、意識・態度の変容が見られ、国際交流・交換留学に対する意欲も向上していることが確認された。また、2つのプログラムを教育的配慮を持って連携させることによる相乗効果も具体的に示された。①1年次の会話パートナープログラム参加者で2年次に海外語学研修や国際交流活動に参加する学生数が増加している。②両プログラム参加後、交換留学生(1年間)として協定校へ留学する者が毎年出ている。 以上の結果から、両プログラムともグローバル人材に必要とされる素養を育成する一定の効果があること、また、両プログラム連携による相乗効果があることが示唆された。更に、これまでの調査の蓄積で、それぞれのプログラム参加による効果の共通点や独自性が徐々に明らかになってきている。このような研究成果はグローバル人財育成のみならず、国際教育交流分野における研究の発展に少なからず寄与するものであると思われる。
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