研究課題/領域番号 |
23520638
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
坂井 美恵子 大分大学, 国際教育研究センター, 准教授 (60288868)
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研究分担者 |
金森 由美 大分大学, 国際教育研究センター, 講師 (80264323)
中溝 朋子 山口大学, 留学生センター, 准教授 (70305217)
大岩 幸太郎 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (90223726)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | e-learning教材 / 日本語学習 / コロケーション / コーパス / 携帯端末用教材 |
研究概要 |
日本語学習者向けのコロケーション習得のためのe-learning教材「コロケーション彗星」のデータを拡充するために、まず、新たなコロケーションの選定を行った。中級レベルの学習者のために2級名詞を選定し、その名詞と共起する動詞のデータ収集を行った。実際の言語使用に基づいたコロケーションを選定するために利用したコーパスは、本年度12月に国研によって新しく公開された現代日本語書き言葉均衡コーパス(BCCWJ)である。本コーパスからデータを収集するために、コロケーション抽出プログラムをDVD版に対応するために改良し、精度を高めた。また、語の頻度数などの統計処理を行うカウントプログラムも新しく開発した。これらのプログラムを利用し収集したデータをもとに、コロケーションの使い分けに関して分析を行うとともに、例文、練習問題の作成を行った。 次に、本e-learning教材を日本語学習者と日本人学生の協働学習に利用するために、以下の新たな機能を追加することを検討した。1.「意見交換」タブの追加。2.「意見交換」では、トピックを登録しそれに対するコメントを投稿可能とする。3.トピックは学習者、日本人学生も登録可能とする。4.投稿文を読んで140字以内でコメントを書き込める。5.画像の投稿も可能とする。以上の追加機能について、実際のシステムの構築は予算残高不足から次年度に持ち越すことになった。 本e-learning教材を携帯端末でも利用できるようにするために、画面構成、提示のしかた、練習問題の種類等について検討を重ねた。新たな形式の問題、音声を取り入れた練習等を追加し、携帯端末用教材を作成することにした。数社のアプリ開発業者との打合せを経て見積りを取り、発注を行った。3月中に完成する予定であったが、業者より開発期間延長の申し入れがあり、納品は次年度に持ち越されることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の目的として挙げた以下の4点について、達成度の評価を行う。1.e-learning教材「コロケーション彗星」の拡充については、新たなトピック5つとコロケーションを約400組選定した。また、例文と練習問題の作成は次年度の予定であったが、既に作成を行っている。よって、目標を達成していると評価できる。今後も引き続き分析対象を広げデータ収集を行うことにより、さらに教材を充実させたい。2.コロケーションの抽出プログラムの改良と、語の頻度数のカウントプログラムの開発については、今年度達成できた。ただし、BCCWJコーパスの公開が本年度の12月と遅れたことと、BCCWJのweb版は公開後も改訂が度々行われており、利用しているDVD版との整合性の確認等が必要なことから、プログラムの検証には時間がかかる。次年度も引き続きプログラムの検証を行いつつ、データ収集と分析を継続していくつもりである。3.日本語学習者と日本人学生の協働学習のための新たな機能の追加については、今年度の予算残高不足から、システムの構築を次年度に持ち越すことになった。既に技術的要件については開発担当者と打合せが済んでおり、来年度早々に完成させる予定である。4.携帯端末でも利用できる教材の開発については、業者との打合せの後、発注を行った。当初3月中に完成する予定であったが、業者より開発期間延長の申し入れがあり、納品は次年度に持ち越されることになった。よって、この点についてもやや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
1.コロケーション抽出プログラムの検証を引き続き行うと同時に、本プログラムを利用し、動詞だけでなく形容詞や副詞についてもデータを収集し分析を行う。また、活用形、ジャンル別の用法の違いなど、より詳細なコロケーションの使い分けに関する分析を行う。その分析結果を反映するために、コロケーションについての特徴の解説画面をe-learning教材上に作成する。また、新しく選定したコロケーションについて例文と練習問題を作成し、教材を拡充する。2.日本語学習者と日本人学生が協働学習を行うために必要となる新たな機能を追加する。システムの検証を行った後、大分大学と山口大学の留学生並びに日本人学生を対象に試行を開始する。中間発表としてまとめ学会発表を行う。3.携帯端末用の教材についても、問題点を修正し検証を行い、完成した後に学習者による試行を開始する。得られた学習履歴データや学習者からのフィードバックに基づき、教材の改良点について検討する。Web教材並びに携帯端末用教材両方のデータの分析を行い、コロケーション習得に関する示唆や、効果的なe-learning教材のあり方などについて明らかにし、これらの研究成果を学会にて発表し、論文にまとめる予定である。システムの検証と問題点の修正についても、必要があれば引き続き行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
携帯端末用教材の開発費997,500円について、当初3月中に教材が完成し、年度内に支払う予定であったが、業者から予想以上に開発の時間がかるため、開発期間延長の申し入れがあった。そのため納品が次年度に持ち越されることになり、この開発費は次年度に計上することになった。また、予定外の開発費用が発生したときのために予備費を計上していたが、本年度の使用はなかったため、これについても次年度に持ち越すことにした。また、携帯端末用教材のためのサーバの構築費や、その他開発に必要となる経費も次年度に計上する。 携帯端末用教材の開発費が予定していた以上に費用がかかったこと、またカウントプログラムの開発にも想定以上の日数がかかったことにより、今年度は予算が不足した。そのため、Web教材の機能追加のためのシステム構築については、次年度に開発を行う。開発者用の携帯端末も今年度購入する予定にしていたが、次年度で購入する。 学習者の試行のための携帯端末の購入台数は、予算の残高により変更する可能性がある。
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