| 研究課題/領域番号 |
23520639
|
|---|
| 研究機関 | 鹿児島大学 |
|---|
研究代表者 |
畝田谷 桂子 鹿児島大学, 留学生センター, 准教授 (20293384)
|
|---|
| 研究分担者 |
和田 礼子 鹿児島大学, 留学生センター, 准教授 (10336349)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
| キーワード | 国際情報交流 |
|---|
| 研究概要 |
本研究は、留学生の理工系論文作成に資するため、理工系論文の「結果および考察」部について以下の分析を行うことを目的としている。 １）「「考察」の表現意図」を下位項目に細分し、その表現意図を論理的に支持する論理展開の型を記述する。 ２）それらの表現意図で使用される文を、表現意図別文型に整理する。 ３）日・英論文を対照する。 ４）「論理展開の型」「表現意図別文型」を教材にまとめる。 平成23年度の研究では、「考察」の表現意図の下位項目を特定し、その表現意図の文型一覧および「結果と考察」部の表現意図による談話構造の型を記述する作業を実施した。「考察」の表現意図の下位項目特定の分析方法には、Swalesの"Move"と"Step"、樺島の「意図」の概念を合わせて用いた。 分析結果から、以下のことが判明した。 １）「結果と考察」部には、「導入、方法説明、結果報告、考察」という構成要素を持つ談話のまとまりが繰り返し出現すること。 ２）「結果と考察」部では、１）の談話が相互に重層的に関わっていること、すなわち部の後半では、前述した部や著者の既報、先行研究を基盤とした「考察」など、「考察」の対象となる談話の範囲が広がって<１)の談話範囲>を越える談話が出現すること。 ３）「考察」の表現意図は「得られた実験結果の原因の考察」だけではなく、「先行研究値と実験値の異なる原因の推論」「実験で生じた現象のメカニズムの推論」「解析実施上の問題点の指摘」「問題点の解決策の提示」「概数の推定」「切断進行順序の推論」「複数の実験結果の解釈」「設計上の必要事項の指摘」「設計上の必要事項への助言」「今後の課題提示」等があること。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究計画調書」の「平成23年度計画」は、以下のとおりであった。１）資料の日本語理工系論文「結果および考察」部全文に論文執筆者の表現意図を付与する。 ２）論文執筆者の「考察」を表す表現意図に下位項目を立てて細分する。 ３）「日本語理工系論文「結果および考察」部全文」のコーパスを作成する。 ４）「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図を論理的に支持する論理展開の型を、その前後に現れる文の表現意図によって記述する。 ５）「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図に現れた文を、表現意図別文型として整理する。 このうち、１）、２）、４）、５）については達成できた。３）のコーパス作成にはいたらなかったが、どのような構成にするか先行研究の資料（村岡、2006）を収集し、検討した段階であるため、達成度評価を「おおむね順調である」にした
|
| 今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の計画は、以下のとおりである。１）平成23年度の分析結果を整理する。 ２）「日本語理工系論文「結果および考察」部全文」のコーパスを作成する。３）日本語論文の分析資料を拡大する。 ４）日本語英訳論文を分析する。a. 資料論文「結果および考察」部全文に論文執筆者の表現意図を付与する。b. 論文執筆者の「考察」を表す表現意図に下位項目を立てて細分する。 c. 「「結果および考察」部全文」のコーパスを作成する。d. 「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図を論理的に支持する論理展開の型を、その前後に現れる文の表現意図によって記述する。 e. 「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図に現れた文を、表現意図別文型として整理する。 ５）日本語論文と英訳論文を対照比較する。a.「考察」下位項目の表現意図に関わる論理展開の型を対照する。b.「考察」下位項目の表現意図別文型を「態」を核にして対照する。
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
「研究計画調書」に記載した平成24年度の研究費は、設備備品費（図書費）として30,000円、研究成果発表、研究情報収集のための学会参加旅費として300,000円、論文コーパスデータ入力、整理作業のための謝金として125,000円、その他として論文別刷り代が20,000円である。 このうち設備備品費（図書費）は分析資料の電子資料入手のための学会入会費、学会参加旅費は関連国際学会が平成24年度は国内開催になったため、200,000円とし、余分を論文コーパスデータ入力、整理作業のための謝金に使用する計画である。 最終年度である平成25年度の支出についても、設備備品費（図書費）は分析資料の電子資料入手のための学会費にあてる計画である。
|
