研究課題/領域番号 |
23520639
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
畝田谷 桂子 鹿児島大学, 留学生センター, 教授 (20293384)
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研究分担者 |
和田 礼子 鹿児島大学, 留学生センター, 准教授 (10336349)
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キーワード | 結果と考察章の表現意図 |
研究概要 |
平成24年度の研究では、第一に、23年度に行った「結果と考察」章全文の表現意図の名付け、その表現意図の文型一覧作成、「結果と考察」章の表現意図による談話構造の図式化を整理し、発展させた。具体的には、Swalesの”Move”と”Step”、樺島の「意図」の概念を合わせて作成した「表現意図のトリー図」を簡素化し見やすくしたこと、各文の表現意図を帰納的に収束して4つの「談話構成意図」にまとめたこと、さらに「談話構成意図」を「談話内」と「談話超」に適用することにより、文章全体の重層的論理構造の記述法を考案したことである。以上の「表現意図のトリー図」および「談話構成意図」概念の作成作業から、以下の判明事項をより簡素化した図式で表すことができた。 1)「結果と考察」章には、「導入、方法説明、結果報告、考察」という構成要素を持つ談話のまとまりが繰り返し出現すること。 2)「結果と考察」章では、談話が相互に重層的に関わっていること、すなわち章の後半では、前述の章や著者の既報、先行研究を基盤とした「考察」など、「考察」の対象となる談話の範囲が広がって、1)で述べた構成要素を持つ談話のまとまりを越えて、文章の中で重層的な談話構造を構成する場合があること。 3)「考察」の表現意図は「得られた実験結果の原因の考察」だけではなく、「その他の考察」が半数近く存在すること。それらは、すなわち、1.「推論(実験で生じた現象の順序、メカニズム、計算結果から導かれた概数)」2. 「(解析実施上の)問題点の指摘」3.「 問題点の解決策の提示、(設計上の)必要事項の指摘、助言」4. 「今後の課題提示」である。 第二に、分析資料のデータベース化の試みを行った。資料の全文を入力し、ExcelのCSVを用いて表現意図により区切りを行う試みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度以降の計画は、以下のとおりであった。 1)平成23年度の分析結果の整理。2)「日本語理工系論文「結果および考察」章全文」のコーパス作成。3)日本語論文の分析資料の拡大。4)英語論文の分析。a.資料論文「結果および考察」章全文に論文執筆者の表現意図を付与。 b.論文執筆者の「考察」を表す表現意図に下位項目を立てて細分。 c.「「結果および考察」章全文」のコーパス作成。d.「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図を論理的に支持する論理展開の型を、その前後に現れる文の表現意図によって記述。e.「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図に現れた文を、表現意図別文型として整理。5)日本語論文と英訳論文の対照比較。a.「考察」下位項目の表現意図に関わる論理展開の型を対照。b.「考察」下位項目の表現意図別文型を「態」を核にして対照。 このうち、1)、2)、3)については達成できた。 4)の英語論文の分析については、終了段階には至らないが、本年度さらに分析手法を整備し、スムーズな分析が行える段階に至った。英語論文は現在分析中であり、時間をかけた丁寧な分析があってはじめて5)の比較が可能になるため、達成度評価を「おおむね順調である」にした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成25年度の計画は、以下のとおりである。 1)平成23-25年度の分析結果の整理。 2)日本語理工系論文「結果および考察」章全文のコーパス完成。 3)英語論文の分析。a.資料論文「結果および考察」章全文に論文執筆者の表現意図を付与。 b.論文執筆者の「考察」を表す表現意図に下位項目を立てて細分。 c.「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図を論理的に支持する論理展開の型を、その前後に現れる文の表現意図によって記述。d.「考察」を細分した下位項目の種々の表現意図に現れた文を、表現意図別文型として整理。 4)日本語論文と英訳論文の対照比較。a.「考察」下位項目の表現意図に関わる論理展開の型を対照。 b. 「結果および考察」章全文の談話構造を対照。 5)教材として役立つ項目を整理する。 6)研究成果報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
「研究計画調書」に記載した平成25年度の研究費は、設備備品費(図書費)として30,000円、研究成果発表、研究情報収集のための学会参加旅費として300,000円、論文コーパスデータ入力、整理作業のための謝金として50,000円、その他として成果報告書印刷が600,000円である。 このうち設備備品費(図書費)は分析資料の電子資料入手のための学会入会費とする。学会参加旅費は関連国際学会が平成25年度は開催されないこととなったため、200,000円とし、余分と謝金分を合わせてその他に加えて、論文コーパスデータ入力、整理作業、成果報告書印刷等のための支出に使用する計画である。
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