本研究では、20代から50代までの女性標準語話者の自然会話を収集し、その中の文末に現れる女ことば(女性文末詞)の比率を確認し日本語教科書と比較した。その結果、教科書の若い世代の女性登場人物は同世代の自然会話の5倍から15倍と過剰使用していることを確認した。また、日本語教科書の中の日本女性像、家庭内や職場の女性、女性の職業、家族像などに関して詳細なデータをとり、政府による現代社会の実情の調査結果データと比較した結果、教科書は約30年前のジェンダー意識に捕らわれていることをデータで実証した。日本内外の日本語教育者へのアンケート調査も実施し、今後の教科書のあり方を考察、その具体案も提案した。
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