研究課題/領域番号 |
23520647
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
舘岡 洋子 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (10338759)
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研究分担者 |
池田 玲子 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (70313393)
岩田 夏穂 大月短期大学, 経済科, 准教授 (70536656)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ピア・ラーニング / 教材 / 教師研修 / 養成 / リソース / 協働 |
研究概要 |
平成23年度は、予定通りメンバー各自の実践の中からピア・ラーニングの教材提供を行った。それと同時に、平成24年度に行う予定であった理論の導出の試み、および25年度に行う予定であった教師養成プログラムも先取りして同時に実施している。特に教師研修の実施は、海外各地からのピア・ラーニングができる教師の養成のための研修の要請による。 教材提供については、現在、各自が整備中であり、またメンバー内での共有を進めている。教材は、すでに実施した教師研修の場でも実際に共有リソースとして用いた。平成23年度は、韓国(ソウル)、マレーシア(クアラルンプール)、シンガポール、モンゴル(ウランバートル)にてピア・ラーニングの教師研修を行った。研修参加者、とくに非母語話者日本語教師の反響をもとに、教材の提示の仕方など教材の見直しも行っている。海外では日本語学習のためのリソースが十分でない場合が多く、ピア・ラーニングを実践するためにもリソース提供の面からの支援が欠かせないと感じたからである。また、日本のリソースを日本の教室環境と同様に使っても効果的でないことが多いことも明らかになった。たとえば、漫画ひとつとっても、日本の社会文脈とは異なった場面で学習者たちが読んだ場合、多様な解釈が生まれるのである。これらの知見を生かして、ピア・ラーニングの教材集を作成したいと考えている。 また、ピア・ラーニングの実践研究を進める教師たちのネットワーク化も推進中である。具体的には、協働実践研究会の活動を通じて、たがいの研究を開示、検討している。平成24年度には、中国(天津)で開催された日本語教育世界大会において、池田・岩田ほかが「東アジアの日本語教育協働学習の実践研究のためのネットワーク構築」というタイトルで、舘岡・近藤・金が「協働型授業を実施するための教員養成/教師研修のあり方を考える」というタイトルで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、ピア・ラーニングの実践およびその教材の収集は順調に行われている。また、教師研修についても、先取りして実践している。日本国内ばかりでなく海外においても、非母語話者日本語教師を含め、日本語教師を対象にピア・ラーニングのできる教師の養成を行っている。平成23年度の研究はおおむね順調に進んでいる。ただし、実際におこなったピア・ラーニングの実践の共有について、教材は共有が進んでいるが、授業の記述については、各自にとどまりメンバー間での共有は十分とはいえない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各自の授業デザインおよび実践の記録にもとづいて、実践から理論を立ち上げる予定である。メンバーそれぞれは、自らの実践の中に実践知としての理論をもっていると思われるが、それを他者に説明可能な形にしていくのが次の課題である。 また、ピア・ラーニングの教材作成および国内・国外の教師研修も引き続き、実施の予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、ピア・ラーニングの教材提供については、各自が使用しているものを収集していくことによってリソースになると考えていたが、現実にはリソース集を提供しただけでは、特に海外の非母語話者日本語教師たちが十分活用することができないということが明らかになってきた。そこで、リソースを提供するだけでなく、解説のようなものをつける必要があると考えている。今年度はアルバイト代を安く押さえることができたので、その分を来年度の教材作成のアルバイト代に充当したい。
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