研究課題/領域番号 |
23520649
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
富谷 玲子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (40386818)
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研究分担者 |
内海 由美子 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20292708)
福永 由佳 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (40311146)
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キーワード | 移民言語としての日本語 / 第二言語としてのドイツ語 / 絵画説明課題 / 言語政策 / 教師養成 |
研究概要 |
『移民言語としての日本語』の調査計画を立案した。従来多くの研究で行われていたインタビュー方式によるものではなく、ストーリー性のある絵画の説明課題でどこまで適切に日本語で説明できるかについて、教室内学習者と自然習得者(教室での学習機会を持たなかった外国人)を比較する課題である。2012年度は、この課題で用いる絵画の選択、調査手法の標準化を国内と海外(ドイツ)で行った。また、予備調査を実施し、実現可能性を検討した。また、調査に必要な調査者とともに調査に関するトレーニングを行うとともに、課題と研究協力承諾書の翻訳(ドイツ語、タイ語)を作成した。 アメリカの成人識字教育に関する言語政策の調査を実施し、「家族」を単位とした教育現場の調査を行い、日本での応用可能性を検討した。 さらに、ドイツにおける移民を対象としたドイツ語教育に関する言語政策に関して、ザクセン州を対象として調査を行った。移民集住地域においては、学齢期には学校教育で、青年期は技術学校等で、成人に対しては成人学校(Volkshochschule)での移民を対象とした言語コースが州または市の予算で開講され、授業担当者は教員資格が必要であること、幼稚園にも移民の子どもの教育にアドバイスを行うコーディネータが市の予算で派遣されているなど、移民を対象とした包括的な言語政策があることが明らかになった。一方移民の母語継承教育では、教室は設置されているものの、移民に対するドイツ語教育ほど網羅的ではないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外の移民先進国の調査はおおむね順調に進展している。2012年度は中学校のドイツ語クラスにおいて参与観察を行うことができた。また、ザクセン州の教育委員会の「第二言語としてのドイツ語」の担当者に聞き取り調査を行い、州としての移民に対する言語政策の方針、移民の年齢による担当部署等について調査を行うことができた。 また、2012年度には「移民言語としての日本語」の調査準備を行い、予備調査を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度、ドイツのザクセン州における「第二言語としてのドイツ語」の教師養成の方針、実際のカリキュラムを調査する予定である。旧東ドイツのドイツ語教師養成のあり方はと旧西ドイツとは異なる面があることがすでに明らかになった。旧東ドイツのザクセン州のドイツ語教師がどのようなカリキュラムの下で教師資格を取得しているのかについて聞き取り調査を行う予定である。 また、日本国内「第二言語としての日本語」の学習者の特徴を明らかにするために、データ収集を行う予定である。日本国内では、日常的な日本語との接触は多いが教室学習経験の乏しい学習者が多い。海外では逆に、教室内での日本語を学習していても日本語との接触機会が少ない。両者から絵画解説課題によるデータを得ることによって、それぞれの特徴を明にすることが2013年度の課題である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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