本研究は,第二言語としての英語によるオーラルコミュニケーション遂行時の心理的ストレスの影響及びそのメカニズム並びにその対処方略の発達プロセスの解明を目指したものである。研究結果から,学習者が経験する心理的ストレスは,語彙や表現内容の想起の阻害,発話の流ちょうさ,正確さ,複雑さの低下,そして,発話イニシアティブの喪失を引き起こしていることが示唆された。ストレス規定要因としては,言語面での困難の他に,課題遂行への自己要求水準の高さと自意識の強さ,さらに,コミュニケーション場面での疎外感があげられた。対処方略としては,言語的方略に加え,自己モニターの活性化による自制心の漸進的回復が特に顕著であった。
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