平成23年度には、高校の英語教科書の一部のライティング・タスクを認知的な観点から分析し、タスクの特性や構成について考察すると共に、英国の研究者10名との面談を通して、ライティングのシラバス開発の理論的基盤について検討した。 平成24年度には、タスクの分析方法を見直し、作文の機能の観点からタスクを分類する枠組みを設定して、中高の検定教科書のライティング・タスクを次の4つの観点から分析した。(1) タスクの量(課題の数など)、(2) タスクの質(課題の種類など)、(3) タスクの配列状況(前後のタスクとの関係など)、(4) タスクについての工夫(まとまりのある文章を書かせるための課題など) 中・高共に和文英訳の出現率は低く、旧課程と比べて高校では大きな変化が見られた。形式の学習はほとんど制限作文が担うようになったが、一方で誘導作文の出現率は依然として高くなく、制限作文から自由作文の橋渡しには課題が残っていることがわかった。関連して、誘導作文やタスクの効果的利用、フィードバック用紙を用いた作文指導など、シラバス開発の中心的概念について検討し、その研究成果の一部を著書の分担執筆の形で発表した。また、中・高の教科書分析に加え、中学―高校間の連携指導を念頭に、同一のテーマで書かれた中学生と高校生(各約30名)の英作文の問題点を結束性の観点から考察し、成果の一部を研究会において発表した。 平成25年度には、引き続き英作文の比較分析を行い、両者の作文の特徴について分析した。先行研究と同様、共にまとまりのある文章を書くのが難しいという傾向は指摘できるが、文章のまとまりに関する意識の差が具体的な指標に表れる可能性も確認できた。本成果を研究会において口頭発表した。 平成26年度は23-25年度の研究成果を整理し、別途発表予定のある部分を除いて研究報告書としてまとめた。
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