研究課題/領域番号 |
23520665
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
鶴田 知佳子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40316782)
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研究分担者 |
内藤 稔 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (90507211)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / 通訳実務 / 会議通訳 / コミュニティ通訳 / 外国語 / 教材開発 / 通訳訓練 |
研究概要 |
昨今の通訳者養成過程において、会議通訳者用の訓練教材、特に英語から日本語方向の教材開発は進みつつある。しかし通訳課程の大学院修了生が実社会で通訳の活躍の場を得ようとすると、現実的には社内通訳者ないしビジネス通訳者としてキャリアをスタートさせることが多い。最近日本社会においてニーズが高まりつつあるコミュニティ通訳においても、双方向の言語での通訳を求められることが多い。即ち、トップダウンではなくボトムアップ方式の対話型教材を、映像と音声を融合した形で提供することが望ましい。本研究では、通訳実務の訓練教材開発の研究を目的としているが、同時に通訳教育のあり方についても海外の通訳教育関係者との間で討議を重ね、教材開発に生かそうと試みている。その目的のために、概略以下の3つを行った。1.教材自体の開発については、鶴田がアメリカ出張において6件の実務教材となりうるデータを収集し、内藤がそのテキスト化を担当した。2.通訳教材の開発に結び付く通訳教育手法については、鶴田・内藤ともに台湾で行われた学会に出張した。鶴田がサイトトランスレーションについて、内藤が「コミュニティ通訳についての研究発表を行った。3.2の研究発表を基として、韓国国際会議通訳者協会(KSCI)の発行する学術誌CIT(Conference Interpreting and Translation)において、それぞれ"Using sight translation in simultaneous interpreting class"、"Community interpreting at the time of Great East Japan Earthquake"として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に教材開発においては進展があった。具体的には対話型教材としてふさわしい初学者が必要になるような業界、たとえば金融・マスコミ・食品分野においての実際の業務に関する教材を作成できた。実際に通訳教育に活用できる質の高い教材開発を行った。通訳教育において教えられるサイトトランスレーション、逐次通訳、同時通訳に活用できる現場に即した教材となっている。また、通訳教育・訓練の手法に関しても、海外の研究者と意義ある交流を、特にサイトトランスレーション、及びコミュニティ通訳の分野にて達成することができ、次年度以降の教材開発に効果的に活用することができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実務型通訳教育の研究を重ねる上で、2012年度においては現在進行中の教材開発の完成を目指す。音声及びスクリプトの両方において、通訳現場に即した形に教材を整え、教室内で使えるよう整備予定である。2013年は実際に該当教材を使用することを念頭におき、通訳教育手法のさらなる発展を目指す。より具体的には、ハワイ大学で開催される日中韓英各言語間の通訳を伴う国際シンポジウムの開催に企画段階から参加し、通訳教育手法の観点において鶴田・内藤ともに研究発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に引き続き、アメリカなど諸国への視察を行い、通訳現場のニーズに沿った実践型教材開発を行う。海外の通訳教育研究者との情報交換も積極的に推進するため、香港における学会発表を鶴田・内藤ともに予定している。次年度繰越金が発生しているが、これは購入予定であった簡易同時通訳装置一式が未購入であるためである。同時通訳装置は本研究で開発した教材を利用する際に、授業に組み込む形で使用するため、昨年度の購入は控えていたものである。また、研究成果等をホームページを通じて公表する予定となっているが、昨年度完了せず現在構築中であり謝金の発生が先延ばしとなっている。
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