研究課題/領域番号 |
23520668
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
酒井 英樹 信州大学, 教育学部, 教授 (00334699)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 外国語教育 / タスク / リーディング指導 / 教科書分析 / 言語活動 |
研究概要 |
初年度である平成23年度は、タスクとリーディングに関する研究の整理及び英語教科書のテキストの類型化を行うことを目的とした。タスク及びリーディングに関する文献の収集と分析を行った。Grabe & Stoller (2002) によれば、談話構造は、ジャンル、書き手の意図、情報の流れ、テキスト構造、情報の種類などを反映するという。このうち、テキストの類型化に参考となりそうなジャンルと情報の流れ(修辞的構造)に焦点を当てて先行研究を分析した。また、中学校教科書を扱ったテキスト分析の先行研究の収集と分析をした。その結果、談話構造に焦点を当てたテキスト分析は少ないことがわかった。 テキスト分析に関しては、平成18年度版中学校英語教科書6社(3学年分)を対象にジャンルに焦点をあてて分析した。その結果、比較的多様なジャンル・テキストタイプが用いられていることがわかった。頻度の高いジャンル・テキストタイプは、会話、スピーチ、自己紹介、放送、散文、電子メール、手紙、ウェブサイトであった。これらの結果は、論文としてまとめ、現在投稿中・査読中である。 また、平成18年度版中学校英語教科書2社(3学年分)を対象に修辞的構造に焦点をあてて分析した。その結果、18種類の修辞的構造のうち、比較的多く扱われている構造(例、時間的順序など)と、あまり扱われていない構造(例、空間的順序、例示など)、まったく用いられていない構造(例、定義、分析など)に分かれることが示された。これらの結果は、論文としてまとめ、中部地区英語教育学会紀要41号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究の収集分析を順調に進めることができ、さらにテキストの類型化の基礎となるテキスト分析を進めることができた。これらの結果は、ジャンル(和田順一と共著、「中学校英語教科書のジャンル・テキストタイプ分析」、投稿中・査読中)と修辞的構造(和田順一と共著、"An analysis of junior high school textbooks of English in terms of rhetorical organization"、『中部地区英語教育学会紀要41号』に掲載)に関するテキスト分析の論文としてまとめることができ、学会誌で公表することができた。これらのことから、研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究の主目的は、中学校の英語教科書に基づき、文字を媒介としたコミュニケーション、特にリーディング中心のコミュニケーションのためのタスクを開発することである。この目的の遂行のために、(1) タスクとリーディングに関する研究を整理すること(平成23年度)、(2) 中学校の英語教科書のテキストの類型化を行うこと(平成23年度)、(3) タスクの開発を行うこと(平成24年度)、そして、(4) タスクの形成的評価を実施すること(平成25・26年度)を具体的な目的とした。最終的には、リーディングに焦点を置いたタスク集を作成し公表する予定である。初年度の研究は、おおむね順調に進展していると考える。そのため、当初の計画通り、今後も研究を推進していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、初年度の研究成果に基づき、テキストの類型化を行い、類型化に基づくタスクの開発を行う。2年目の研究計画のまとめとして、「タスクの開発」に関する研究論文の執筆を行う(学会参加旅費・論文校閲費)。新規に出版されたものを中心に、文献収集及び分析を継続して行う予定である(文献費・書籍費・学会参加旅費)。
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