本年度は24年度から使用されている中学校英語教科書のジャンル・テキストタイプを分析した。その結果、文字コミュニケーションについて頻度が高かったジャンル・テキストタイプは、散文、解説、手紙、スピーチ、新聞であった。さらに、頻繁に見られるジャンル・テキストタイプについて、大学生を対象にアンケート調査を行い、読んだことに基づいて行う言語行為や読んだり書いたりする目的についてまとめた。例えば、物語・小説に関する言語行為や目的は、(1) 読みに焦点が置かれたタスク(例。読んで、印象深い表現を抜き出す。読んで、音読する。読んで、イメージ図を描く。読んで、人間関係図を作成する。)、(2) 読んだ後、表出するタスク(例。読んで、要約するタスク。読んで、あらすじを書く・話す。読んで、脚本を作成し、演ずる。読んで、続きを書く。読んで、ある登場人物の目線から物語を書き直す。)、(3) 自分の考えに関するタスク(例。読んで、自分が考えたことをまとめる。読んで、作者についてわかったことのリストを作る。読んで、感想を書く・話す。読んで、薦める・推薦文を書く。読んで、登場人物の心情について話し合う。)、(4) その他(例。読んで、感想を聞く・読む。読んで、関連する本を探す。読んで、作者情報を調べ、まとめる。読んで、他のメディア作品と比較し、まとめる。読んで、伏線があったかどうかを探す。)に整理された。この整理に基づいて、現実タスク(例。ポップを書く)と教室内タスク(例。要約する。薦める・推薦文を書く。)を設定するなど、タスクの作成例を提案した。これらの成果は、『中学校英語テキストの類型化に基づくリーディング中心のタスク開発研究』としてまとめた。さらに、ジャンル・テキストタイプを核としながら英語でリーディング指導をする方法の提案を『訳さない、訳させない、でも理解させる英語リーディング指導』としてまとめた。
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